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2) ISO/TS 22393の概要

BCP、BCMとはパンデミックと事業継続|
国際標準化動向関連情報

2) ISO/TS 22393の概要

大規模な緊急事態、災害、そして危機的状況(COVID-19のようなパンデミックなど)の侵襲的、かつ、しばしば広範囲に及ぶ影響は、短期的な復旧とコミュニティの意欲的な再生(Renewal)が必要となります。
このような事象は、通常の状態の集団・阻害をもたらし、システムの脆弱性を露呈させ、広範な被害を引き起こす可能性のある影響をもたらします。
ISO/TS 22393は、大規模な緊急事態、災害、危機的状況がコミュニティに与える影響をどのように評価するかについての枠組み、また事業活動の復旧活動を計画し、変革的な再生(Renewal)の取組みを戦略的に行うことによって、これらに対処する方法の枠組みを提供しています。
危機的状況への対応は時に複雑で長期にわたるものですが、復旧のための一般的な計画というのは、危機的状況が起こる前から始まっています。

危機的状況下で直面している特定の状況に合わせて、このような一般的な復旧計画を策定することは、対応における早い段階で開始されます。
危機的状況が発生している最中であっても、その状況に合わせた復旧計画を作成することで、適切な時期に適切な規模で迅速な措置をとり、復旧の道を歩み始めることができます。
この文脈において、復旧は人によって異なる意味をもっていますが、この文書での復旧は、危機的状況による好ましくない影響を速やかに克服して次の緊急事態に備え、コミュニティにポジティブな成果をもたらすための事業活動を設計、調整、提供することを指します。
復旧は、例えば、基本的サービスの再開、生活の一時的な支援、ガバナンスの提供、そして仕事や社会生活に必要な新しい行動の奨励などを目的として、短期的に行われます。

これらの事業活動は、危機的状況を振り返り、今後の活動に生かすための教訓を得て、将来の危機的状況への備えを見直し、危機的状況の影響を受けたシステムの一部を復旧することで、即時のニーズに対応できます。
状況によってはやむを得ない場合もありますが、迅速に“通常の状態に戻す”という目標は、しばしば短絡的で、引き起こされた混乱を過小評価し、危機的状況によって露呈した慢性的かつ根本の問題に対処する機会を反映していないことがあります。

このような復旧は、危機的状況が終息した後の備えを構築することが望ましいです。
このような事業活動だけでなく、危機的状況によって引き起こされる混乱は、大きな戦略的変化を促す状況を生み出します。これをここでは“再生(Renewal)”と呼びます。
私たちが当たり前だと思っていることの多くを根底から覆し、脆弱性の激しさを私たち一人一人の身近なものとしてもたらすことで、危機的状況は、復旧が始まりに過ぎない、より根本的な機会を提示します。

再生は、コミュニティと共同で開発した長期的かつ意欲的な戦略的イニシアチブによって、システムの一部を変革することを意味します。
再生は、コミュニティとの崩壊した関係を修復すること、危機的状況による影響で露呈し、将来の基盤として不十分であることが示された欠点、不平等、戦略的な脆弱性を改善・修正することを目指すことが望ましいです。
これには、環境を変えてより好ましい条件を作り出すことや、その条件に照らして運用を再構築することが含まれます。このような再生は、危機的状況発生後のレジリエンスを構築する必要があります。
何を復旧し、再生(Renewal)する必要があるかという観点から、この文書では、危機的状況によっての影響を受けた人々、影響と対応が発生した場所、そして対応のニーズを満たすように構成されたプロセスに焦点を当てています。

人、場所、そしてプロセスへの取組みの鍵となるのは、復興と再生(Renewal)を支援する適切なパートナーの存在と、意味のある復旧と再生(Renewal)を確実に実現するための新たな力関係を認識することです。
復旧と再生は、場合によっては危機的状況が発生する前の生活に似ているかもしれませんが、危機的状況に適応し、危機的状況によって条件付けられた新しい生活様式を確立することを目指すことができます。
そのためには、危機的状況が発生している間に何が起こったのか、また他の都市や国のコミュニティや組織が同様の影響に対してどのように対処したのかを学ぶことが必要です。
ISO/TS 22393の構成及び概要(JSA事務局作成)

インデックス

1) なぜISO/TS 22393を開発したのか?
2) ISO/TS 22393の概要
3) 新しいコンセプト である“再生(Renewal)”と、“よりよい復興(Build Back Better)” との違いとは?
4) COVID-19パンデミックから学んだ教訓とは?
5) 英国・欧州における、“ポストコロナ”に関連する標準化の動向について