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ニューノーマル×物流

物流サービスを取り巻く環境の変化コールドチェーン
非接触配送関連情報 SDGsへの貢献

物流サービスを取り巻く環境の変化

2020年度の宅配便取扱個数は前年度比11.9%増で増加率は過去20年で最大となりました。これは、コロナ禍に伴う巣ごもり需要によって、インターネット通販(EC)サービスの利用者が増えたのが主因とされています(※1)。また、日本では巣ごもり需要、内食需要の拡大によって、冷凍食品の需要も増えていますが(※2)、ASEANにおいても冷蔵・冷凍食品の需要が増加し、コールドチェーン物流サービスが拡大している状況にあります。
加えて、コロナ禍の影響によって、“非接触”のニーズが高まり、宅配に関しても、非接触で荷物を受けとる“置き配”の利用が増加しつつあります(※3)。

※1 https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000235.html
※2 https://www.reishokukyo.or.jp/news-public/11055/
※3 https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/ckeconomy/20210203-OYT8T50025/

コールドチェーン

(1)小口保冷配送サービスの国際標準化
国際標準化機構(ISO)に、2018年に日本提案により設置されたプロジェクト委員会ISO/PC 315において、小口保冷配送サービスの国際規格ISO 23412:2020(温度管理保冷配送サービス-輸送過程での積替えを伴う荷物の陸送)が作成され、2020年に発行されました。
ISO 23412:2020は、輸送過程において積み替えを伴う保冷荷物の陸送配送サービスについて、適切な温度管理を実現するための作業項目を定めています。主な内容は以下の通りです。

  • 保冷配送サービスの定義
  • 輸送ネットワークの構築
  • 保冷荷物の取り扱い
  • 事業所、保冷車両、保冷庫、冷却剤の条件
  • 作業指示書とマニュアル
  • スタッフへの教育訓練
  • 保冷配送サービスの監視と改善

ISO 23412が普及することによって、日本の物流事業者の小口保冷配送サービスの品質が適切に評価され、国際競争力が強化されること、また、各国における市場の健全な育成と拡大に寄与することが期待されています。

ISO 23412:2020紹介動画(外部サイト)

(2)日本式コールドチェーン物流サービス規格の国際標準化
●ASEANにおけるコールドチェーン物流の現状及び課題
ASEANにおいては、経済的な発展に従って、近代的市場への転換が進み、冷凍冷蔵食品市場は、2015年までの5年で1.6倍、その次の5年でさらに1.5倍と急成長しています。
一方で、地域によっても度合いは異なるものの、ASEANではコールドチェーン物流は未整備で質の向上が望まれています。加えて、冷凍冷蔵貨物の扱いに関する知識不足、電力供給が不安定、道路インフラが劣悪であるなどの事情もあり、結果として、食品廃棄(フードロス)が製造・流通段階で多く発生していることが課題となっています。さらには食品の衛生問題、⾷品由来の疾病や死亡も頻発していることから、これら課題を改善することで、フードロスを減少させ、SDGs達成に向けて貢献していくことが求められています。

●日ASEANコールドチェーン物流ガイドライン
このような背景により、日ASEAN交通連携の国際的な枠組みの中に、⽇ASEANコールドチェーン物流プロジェクトが位置付けられ、日ASEANコールドチェーン物流ガイドラインが策定されました。⽇ASEANコールドチェーン物流ガイドラインは、ASEAN各国の状況を踏まえ、ASEAN各国の倉庫事業者、輸送事業者、それを管轄する政府省庁が留意すべき事項が盛り込まれ、B to B輸送による冷蔵、冷凍、定温に区分された低温帯を対象とした事項が規定されています。

●⽇本式コールドチェーン物流サービス規格(JSA-S1004)
2020年6⽉に発⾏したJSA-S1004は、⽇ASEANコールドチェーン物流ガイドラインを基に、BtoBにおける低温輸送サービス及び低温保管サービスに関し、事業者が守るべき事項について規定したJSA規格です。
さらに、2021年に、日本から提案し新たに設置されたISO/TC 315(コールドチェーン物流)において、日本からこのJSA-S1004をベースとした国際規格開発を提案し、ISO 31512として国際的に合意の図られたコールドチェーン物流サービスに関する規格の策定を目指して、検討を開始しました。

非接触配送

感染症対策に関連して、非接触・非対面型の配送への関心が高まっています。日本国内でもヤマト運輸がEコマース向けの非対面配送サービスEAZYを提供している他、国土交通省により「非接触・非対面型のBtoC配送実証事業」が採択され、オートロックマンションの「置き配」対応や、宅配ボックスを利用した食品を対象とした宅配について実証が進められています。国際的には、ISOにおいて、非接触配送サービスに関する標準化の検討が開始されました。

(1)ISO/IWA 36(非接触配送サービスガイドライン)
ISOではIWA(国際ワークショップ協定)として、非接触型配送サービスにおいて考慮すべき事項のガイドライン(ISO/IWA 36)の開発が中国主導で進められています。ISO/IWA 36では、非接触型宅配サービスは、消費者と宅配業者の健康と安全に貢献するものとして、消費者が直接商品を受け取ることができるスマートロッカーの活用や、商品の受取場所・受取方法を消費者と宅配業者との間で取り決めるプロセス、情報伝達等に関して、ガイドラインとして示すことが検討されています。

(2)ISO 31511(コールドチェーン物流における非接触配送)
ISO/IWA 36とは異なる動きとして、中国の提案により、ISO/TC 315において、コールドチェーン物流における非接触配送の国際規格の開発が開始しています。ISO 31511では、温度管理が必要な商品を取り扱う非接触配送に関して考慮すべき事項についての標準化の検討が進められる予定です。

関連情報

SDGsへの貢献

コールドチェーン物流の標準化は、国連の持続可能な開発目標(UNSDGs)の2、3、9、12に貢献しています。

  • Goal 2: 飢餓をゼロに
  • Goal 3: すべての人に健康と福祉を
  • Goal 9: 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • Goal 12 つくる責任つかう責任

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