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1)なぜISO/TS 22393を開発したのか?

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1)なぜISO/TS 22393を開発したのか?

2019年12月下旬に初めてCOVID-19感染が報告されて以来、COVID-19は、人命の損失、社会的ウェルビーイング、経済的安定性の面で、世界中で壊滅的な影響を及ぼし、脆弱な人々に広く不安をもたらしています。
また、このウイルスによって、レジリエンス能力における組織的な弱点が露呈し、人々の相互の関わり方が変わり、市民の自由を制限する新たな緊急事態法が課されました。
2020年3月、世界保健機関(WHO)はパンデミックを宣言しました。
ISO/TS 22393 (Security and resilience — Community resilience —Guidelines for planning recovery and renewal)のガイドラインの作成は、COVID-19パンデミックの初期である2020年3月に開始されましたが、その頃、世界各国の復旧に関する教訓を特定するための研究プロジェクトが始まりました。
教訓は、リスク、レジリエンス、復旧の専門家との64回のインタビューを通して、また世界中の注目すべき実践事例の公開情報を検索することで特定されました。
これらの情報を収集した後、イギリスのマンチェスター大学の研究者が分析を行い、復旧と再生(Renewal)のための初期のフレームワークを開発しました。
この初期のフレームワークは、広範囲にわたる地方自治体及び国の復旧実務者との小グループ会議で共有し、評価し、改良していきました。
このフレームワークは、“The Manchester Briefing on COVID-19: International lessons for local and national government recovery and renewal(COVID-19に関するマンチェスター・ブリーフィング:地方自治体と中央政府の復旧と再生のための国際的教訓)”( www.ambs.ac.uk/covidrecovery から無料で入手可能)と呼ばれる文書として開発・共有され、2020年4月以降、世界的な配信ネットワークを通じて毎週配布されています。
このフレームワークは、グッドプラクティスに沿うためのフィードバックと改善のために、世界的なウェビナーやその他の地方・国内の普及活動を通じてさらに共有されています。
これらの作業の結果、復旧と再生(Renewal)を計画するためのガイドラインを作成するのに十分に成熟した一連の原則とアプローチが完成しました。
ISO/TS 22393は、国際的な専門家グループが、それぞれの専門的知見と各国の慣行に沿って、これらのガイドラインをさらに改善したものとなっています。
このガイドラインを、ISOの技術仕様書として発行することで、COVID-19の余波に対処するために国や地方の組織を率いる復旧実務者の国際コミュニティを支援することを狙いとしています。
このウイルスは、ほとんどのレジリエンスパートナーがこれまでに経験したことのない規模の復旧の機会とともに、新たな課題を生み出しました。
このことは、“復旧”から“復旧と再生(Renewal)”への考え方の重要な変化を促すものであり、将来の危機的状況に対する備えを迅速に見直し、地域のレジリエンスを高めるための意欲的な取組みを開始する必要性を示しています。
私たちは、ISO/TS 22393のガイドラインの実施に意欲的な都市と協力したいと考えていますし、世界中の多くの国や都市は、このガイドラインを導入しようとしています。

インデックス

1) なぜISO/TS 22393を開発したのか?
2) ISO/TS 22393の概要
3) 新しいコンセプト である“再生(Renewal)”と、“よりよい復興(Build Back Better)” との違いとは?
4) COVID-19パンデミックから学んだ教訓とは?
5) 英国・欧州における、“ポストコロナ”に関連する標準化の動向について