TOURISM IN A COVID-19 WORLD（コロナ渦の観光業）
今回のパンデミックで最も大きな打撃を受けた分野の一つである観光業は、世界の10人に1人の雇用をもたらし、多くの国のGDPに占める割合も大きく、何百万人もの人々の生活を支えています。さらに、観光業は野生動物の保護や文化・遺産など、他の分野にも資金を提供することが多いです。
最新の数字によると、今回のコロナ危機が始まって以来、観光産業が被った損失は1兆2,000億ドル規模であり、1億人以上の雇用が失われています。そのため、この分野の復活は急務ですが、すべての人の健康と安全を守るという文脈の中で行われる必要があります。これを支援するために、新しいPAS（公開仕様書）が発行されました。
ISO/PAS 5643を開発したISO委員会のマネージャーであるNatalia Ortiz de Zárate氏は、ISO/PAS 5643は、既存の国内外のガイドラインを参考に、調和と拡張を図り、どの国でも使用できる包括的な文書になっていると述べています。
「安全で持続可能な方法で、観光業を再開させることが不可欠です。」とNataliaは述べます。
「以前のような世界に戻れる保証はなく、予測不可能なことが当たり前になっています。このガイドラインの目的は、信頼を回復し、すべての人に安全と安心を提供する手段として、業界がアジャイルかつ慎重に対応し、可能な限り最高の状態で再び訪問者を迎え入れることができるよう支援することです。」
ISO/PAS 5643「観光及び関連サービス-観光産業におけるCOVID-19の蔓延を抑制するための要求事項及び指針」は、適用範囲が広く、観光分野のすべての事業者（宿泊施設、美術館、交通機関、体験、アクティビティ、ガイドなど）が、より安全なサービスを確保し、ウイルスの蔓延を防止するのに役立ちます。これは、観光事業者がすべての人の安全のために最善の対策を実施することを支援し、その対策の有効性について観光客に安心感を与えることを目的としています。
また、このPASは、欧州標準化委員会（CEN）によって、the European Tourism COVID-19 Safety Seal（欧州観光のCOVID-19 安全ラベル）としても採用されており、ガイドラインへのコミットメントを示すとともに、地域全体での広範な普及を目指しています。
The European Tourism COVID-19 Safety Sealは、次の2 つの CEN ワークショップ協定（CWA）によって定められています。
CWA 5643-1「Tourism and related services - Requirements and guidelines to reduce the spread of Covid-19 in the tourism industry (ISO PAS 5643:2021)
CWA 5643-2「Tourism and related services - Requirements and guidelines to reduce the spread of Covid-19 in the tourism industry - European visual identity」（ヨーロッパ特有の推奨事項や要求事項に焦点を当てたもの）
ISO/PAS 5643は、観光産業の関係者が、世界各地の異なるプロトコルを考慮しながら、感染症の流行の拡大を抑える対策を特定し、実施するのに役立ちます。
PASを作成したWG主査であるMaria Cruz Cádiz氏は、PASには、観光客だけでなく、地元の人々や観光事業者の従業員を守るための要求事項や推奨事項が含まれていると述べています。
「また、中小企業を含むあらゆる組織に適応できる柔軟性と包括性を備えています」とも述べています。
そのため、宿泊施設、レストラン、ビーチ・公園、交通機関、ツアーガイド、スパ、博物館・遺産、会議・イベント業界、旅行・観光業者など、あらゆる分野に関連する提言となっています。
ISO/PAS 5643は、スペインのISO会員であるUNE（スペイン規格協会）が事務局を務めるISOの専門委員会であるISO/TC 228「観光及び関連サービス」によって開発されました。このPASは、こちらから購入できます。
※ISO発行記事「TOURISM IN A COVID-19 WORLD」を基に作成
