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第4回:ISO/PAS 45005の活用方法

第4回:ISO/PAS 45005の活用方法

イ:
各企業や組織はこの規格をどのように活用すると良いでしょうか?
事:
ISO/PAS 45005はガイドライン文書であり、すべての事項を実施しないといけないということではありません。組織はそれぞれの状況に応じて、自組織に該当する項目に対する規定を選択的に参考にするという利用の仕方が想定されています。
例えば、このPASには、次のような職場の種類に応じた推奨事項が記載されています。

  • 所定の職場に出勤しての仕事が必要である場合には、4.4.1
  • 在宅勤務が行える場合には、4.4.2
  • 他人の家で働く場合には、4.4.3
  • 働く人が移動をする必要がある場合には、4.4.4、5.3、12.9、12.10
組織は、自組織の状況に応じて、新型コロナウイルス感染症から生じるリスクを管理するために重要となる項目を考慮して、提示されている安全で健康的な作業環境を提供するためのガイドラインを参考にすることが望ましいでしょう。
働く人のメンタルヘルス及びウェルビーイングの保護については、2021年夏頃に発行予定のISO 45003(労働安全衛生マネジメント-職場の精神的な安全衛生-心理社会的リスクの管理のための指針)で詳述されますが、パンデミックに関連する心理社会的リスクを管理するために、PAS 45005の箇条6では次のような事項が推奨されています。

  • 労働者が経験する問題や困難を認め、信頼、配慮、支援の文化を促進する
  • 定期的に課題や不安について話し合い、労働者を支援する方法に同意できるようにする
  • 労働者自身が作業ペースや納期をもっと管理できるようにする
  • フレックス勤務や柔軟な休みの取り方ができるようにする
  • 組織の現状や労働者に影響する計画変更は定期的に明確かつ正確に知らせる
  • 心配をしている労働者に適切なPPEやマスク等の提供を検討する
  • 労働者のメンタルヘルス及びウェルビーイングの管理を助けるためのカウンセリングや金銭に関するアドバイス等も追加で提供する
この他にも、組織が、対面会議のみでなくオンライン会議を活用し、マスクや手指消毒剤を労働者に提供するなど、職場の感染症対策を実施し、更に、勤務時間の変更、在宅勤務者の支援、介護職など他人との高頻度又は濃厚な接触が必要な職種での高い感染リスクなどに配慮し、リスクの管理をしていくための方法が網羅的に記載されており、是非こうした取り組みに当たってこのPASを活用していただけると幸いです。
イ:
オフィス内での消毒やディスタンシングだけでなく、在宅勤務といった多様な働き方やメンタルヘルスの配慮など、感染防止取組みのための幅広い指針が規定されているのですね。お話をどうもありがとうございました!


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