AI時代における協調安全の推進
2025/10/28
スマートマニュファクチャリングの進化と、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった技術の利用拡大に伴い、多くの職場は劇的に相互接続が進み、その複雑さを増している。自動化や予知保全は、かつてリスクや危険を伴った作業を代替できる一方で、誤動作、サイバーセキュリティ、プライバシー、信頼性といった新たなリスクも生み出している。
◆「協調安全」としてのSafety 2.0
この課題に対し、国際標準化がどのように貢献できるかが、先日、日本で開催された「安全・健康・ウェルビーイング国際標準化フォーラム(International Standardization Forum for Safety, Health and Wellbeing)」の主要なテーマとなった。
このイベントで講演を行ったIEC(国際電気標準会議)会長のJo COPS氏は、「協調安全(Collaborative Safety)」、すなわち「Safety 2.0」は、失敗を防止することを目的とした従来の安全モデルを、さらに別次元へ引き上げるものである、と述べた。
Jo COPS氏は、「Safety 2.0は、プロアクティブな設計、適応性の高い技術、そして人間と機械の協働から成り立っている」と述べ、「新たな人と機械の関係において、人間が常に中心であり続けることを目指す」と説明した。
◆標準化への国際的なコミットメント
このイベントは、日本規格協会(JSA)と安全・健康・ウェルビーイングのためのグローバル・イニシアティブ(GISHW)の共催により開催され、安全、健康、ウェルビーイング分野における国際標準化の重要性と最新動向について、世界各国の専門家が議論を交わした。
イベントの後には、持続的な国際標準化活動を通じて、より安全で安心な社会を築くための決意を示す「安全・健康・ウェルビーイング標準化宣言」が採択された。
◆IECによる安全規格の整備
IECは、技術の最適な開発と利用を促し、すべての人にとってより良い未来を築くための標準とガイダンスを長年にわたり提供し続けている。2020年に発行したホワイトペーパー『Safety in the future(将来の安全)』では、作業者、機械、環境間の協調的な枠組みを提唱した。
IEC 61508シリーズは、電気・電子・プログラマブル電子システムおよび製品のライフサイクル全体を網羅する機能安全規格である。センサー、制御ロジック、アクチュエーター、マイクロプロセッサーなど、自動化された安全機能を担うシステム部分を対象としている。
IECEE(IEC電気機器・部品適合性試験認証制度)は、家庭、オフィス、作業場、医療施設などで使用されるコンポーネント、デバイス、および機器の安全性、品質、効率、総合的な性能を評価するためのスキームを提供している。また、CoPC(Certification of Personnel Competence scheme)は、業務、セキュリティ、安全に関わる重要な分野において、スタッフが特定の能力を有することを証明するための評価・認証を行う。
記事の詳細は、IECのウェブサイト(Driving Collaborative Safety in the Age of AI)をご参照ください。
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