
ダボスリポート(2024):AIハウス,イニシアティブ間の協調を議論
2024/01/22
2024年世界経済フォーラム開催期間(1月15~19日)に合わせ,東京大学 Beyond AI 研究推進機構,メランティックス社, ETH AIセンター,Swisscom,ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は,共同してAIハウス・ダボスを開設した。

AIハウスは,全ての人々が安全にAIにアクセスし,利用できるようにすることをテーマに,“ガバナンス”,“リスク評価”,“人道支援”及び“教育”などに焦点をあてた多くのセッションを開催している。

16日に開催されたセッション“AI Governance and Safety: G7 Hiroshima AI Process(AIガバナンスと安全性 G7広島AIプロセス)”では,江間有沙氏(東京大学国際高等研究所東京カレッジ 准教授)の進行の下,アマンディープ・ギル氏(国連事務次長 技術特使),アンナ・マカンジュ氏(グローバルアフェアーズ担当OpenAIバイスプレジデント),クリストフ・ヴィンターハルター氏(ISO副会長政策担当/ドイツ規格協会CEO),飯田陽一氏(総務省情報通信国際戦略特別交渉官),が登壇し,AIガバナンスの重要性と各イニシアティブ間の相互運用性について議論が行われた。
広島AIプロセスにおいてデジタルWG議長を務めた飯田氏からは, AIのリスクや対応すべき課題と機会について議論した結果,国際指針や国際行動規範を含む「広島AIプロセス包括的政策枠組み」の策定に至った旨の紹介があった。
またOpen AIのアンナ・マカンジュ氏は,Open AIは,元々,協調志向の原則の基,設立しており,安全性をはじめとする課題解決に向けて,AIに関する国際イニシアティブ,各国政府,市民社会とのパートナーシップは重要と語った。
国連事務次長特使のアマンディープ・ギル氏からは,AIが持続可能な開発目標を加速させる機会に着目していく必要があること,また各国でAIガバナンスに関わるフレームワークが生まれる中,国際機関として,相互運用性の確保に向けた取り組みが重要であることを強調した。
相互運用性に関して,ISO副会長のクリストフ・ヴィンターハルター氏は,G7,国連,政府からのトップダウン型アプローチに対し,世界の組織が正しく実装できるようにすることが重要であり,そのためのツールとして,専門家やユーザーを巻き込んで開発するボトムアップ型アプローチの国際標準化が有効であるとの見解を示した。またヴィンダーハルター氏は,AIを開発又は利用する際の手順,能力,知識を備えていることを確認するためのツールとして,2023年12月に発行された国際標準,ISO/IEC 42001(情報技術-人工知能-マネジメントシステム)を紹介した。

ISO/IEC 42001は,AI ベースの製品やサービスを開発又は利用する組織に向け,AI システムの責任ある開発と使用を保証することを目的にAIマネジメントシステムの構築,維持,継続的な改善を行うための要件を規定している。
[ジュネーブ事務所 遠藤]
出典:
- Beyond AI https://beyondai.jp/contents/2023/10/16/20231016/
- 広島AIプロセス https://www.soumu.go.jp/hiroshimaaiprocess/
ISO/IEC 42001
ISO/IEC 42001:2023
情報技術-人工知能-マネジメントシステム
Information technology -- Artificial intelligence -- Management system
※日英対訳の邦訳版発行予定!邦訳版発刊時にメール通知いたします。登録はこちら