
【注目JIS】JIS Z 8890(粉体の粒子特性評価-用語)を改正!
2025/05/22
一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)は、2025年5月20日にJIS Z 8890:2025(粉体の粒子特性評価-用語)を発行いたしました。
粉体の粒子特性評価-用語
Particle characterization of particulate systems-Vocabulary
■JIS Z 8890はなぜ改正されたのか?
この規格は、粉体粒子の特性評価に関する主要な用語と定義を規定するものです。粉体を取り扱う企業や研究所などでは、粉体粒子の特性測定・評価が非常に重要であるため、様々な測定方法が開発され、使用されております。その一部は国際規格または国内規格となっています。
これらの規格では、試料の取り扱い、測定、測定結果の表示に関して多くの「用語」が使われていますが、同じ用語が異なる意味で使われたり、逆に異なる用語が同じ意味で使われたりするケースがあり、生産、研究、開発の現場で混乱の原因となっていました。
この問題を改善するため、2013年にISO 26824:2013が制定され、それを基にJIS Z 8890が2017年に制定されました。その後、2013年以降に制定または改正された粒子特性評価に関するISO規格群で新しく定義された用語や修正された用語を反映させた上で、2022年にISO 26824:2022として改訂されました。
ISO 26824:2022と整合化することは、用語の統一や和英の対応を明確にする効果があり、様々な方法で測定される粉体粒子特性を適切に評価する上で必要であるため、JIS Z 8890の改正が必要と判断されました。
■JIS Z 8890の改正に期待されること
この規格の改正によって、様々な測定方法で使用されている用語の意味がより明確になり、その関係が明確にされることで、測定結果が適切に評価されることが期待されます。
粉体を扱う企業や研究所は多岐にわたり、それぞれに固有な測定方法や用語が使用されていますが、今回の改正により、関係業界間での互換性を高めることができ、測定技術の向上だけでなく、粉体関連産業全体の進歩にも貢献することが期待できます。
また、対応する国際規格であるISO 26824との和英の対比が明確になることで、依頼試験や測定機器の国際的な取引において、より円滑なコミュニケーションが促進されることも期待されます。
主な規定項目または改正点は、次のとおりです。
・一般的用語及び特性評価の結果の表し方において、対応国際規格には記載されていないが国内で重要な用語として、 “パーセンタイル径”を追加する。
・試料のサンプリング及び調製において、対応国際規格には記載されていないが国内で重要な用語として、 “縮分”、“分割”、“サブ試料”、“縮分率”、“サンプルサイズ”を追加する。
・粉体粒子の表面積、細孔及び密度の測定において、対応英語に合わせ、用語“等温線”を“吸着等温線”に修正する。
・沈降法において、対応英語に合わせ、“粒子見掛け密度”の用語を追加する。
・動的光散乱法において、対応国際規格における変更に合わせ、同じ項目であった“散乱光強度”及び“カウントレート”を別の用語として定義する。
・光相互作用による粒子計数方法において、対応英語に合わせ、”偽計数”の用語を追加する。
[日本規格協会]