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ISO 45003の活用方法

ISO 45003の活用方法

組織の状況は、その規模や事業の分野、働く人の多様性の度合いによって様々で、内外の課題は組織によって異なります。そのため、職場の心理社会的リスク管理の課題を解決するために、まずは自組織の状況を理解し、内外の課題を把握して適切なテーラリング(調整)をすることが推奨されます。
ISO 45003では、箇条6(計画)に心理社会的危険源の例とその特定方法やリスク評価方法の例を、また、箇条8(運用)にリスク低減のための管理策の例を、網羅的にチェックできるようにまとめているため、各組織は、自身の状況に応じたテーラリングをする際に、ISO 45003を活用することが可能です。

具体的には、組織は、箇条6の三つの表を参考にして、職場の心理社会的危険源を特定し、心理社会的なリスクの評価を行うことができます。例えば、作業の編成の仕方について、表1の例を参考にすると、

  • 意思決定に参加する機会が限られているか
  • 柔軟性のない作業スケジュールであるか

などのチェック項目は、仕事の管理に対する働く人の意見反映、働く人のWLBを考慮した作業の時間設定など、職場環境等を改善する計画を検討する際の助けとなります。
また、心理社会的リスクを低減するための管理策の検討に当たっては、箇条8が参考になります。例えば、上記の「柔軟性のない作業スケジュールであるか」という項目への対応は、8.1.2.2に記載されている「フレックス制度、ワークシェアリングなどによって働く人が仕事のやり方を管理できるようにする」という管理策の例が参考になります。

ニューノーマル社会では、働く人にとっての物理的ストレス(照明、温度、騒音)や心理社会的ストレス(仕事量の管理不足、良好な対人関係の不足)も増します。組織は、ISO 45003を上手く活用して、メンタルヘルスを促進し、働く人の心身の健康、ウェルビーイングを向上させる取組みを促進していくことが、事業の持続可能性を維持し企業価値を高めるために重要になってくると言えます。