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ISO/TC 312(サービスエクセレンス) 第10回国際会議(ラルナカ)レポート

2023/05/30

サービスエクセレンスの国際規格を開発するISOの専門委員会TC 312(サービスエクセレンス)の第10回国際会議が2023年5月22日~25日の4日間、ラルナカ(キプロス)で開催された。この会議は、2019年以来の対面での総会の開催であり、会議のホスト国であるキプロスのほか、ドイツ、インド、中国、バルバドス、日本、スウェーデンなどから約30名が参加した※ 。



今回の会議では、新たな提案であるサービスエクセレンスの実装をサポートするISO/AWI TS 19380(サービスエクセレンスー実装アプローチ)や組織の現在地を確認するためのISO/AWI TS 19387 (サービスエクセレンスー成熟度モデル)などの新たなプロジェクトが議論された。

会議は、CYS(キプロス規格協会)のホストで行われ、会議期間中、ISO/TC 312の委員会メンバーは、テクニカルビジットとしてキプロスの中心地、ニコシアにあるPWC Cyprus Experienceセンター等を訪問した。

※オンラインでの参加あり。



次回のISO/TC 312総会は、2024年2月に中国で開催される予定だ。

キプロス国際会議に出席して

2020年2月にドイツ、エッセンで開催したワーキンググループミーティングの直後にCOVID-19の大流行パンデミックとなりました。その後、3年間コロナ禍で規格開発活動は粛々と続けられ、オンラインでの総会を繰り返し、2021年にISO 23592とISO/TS 24082が、2022年にはISO/TS 23686などの国際標準が発行されました。また、サービスエクセレンスの要素をもつ企業実践事例を国際的に収集して整理したレポートISO/TR 7179が2023年には発行される予定です。

コロナ禍で芽吹いたこれらのサービスエクセレンス規格が公開され、組織をサービスエクセレンスへと変化・移行させる活動を支援できる環境が整いつつあります。今回の総会では、サービスエクセレンスのISO/AWI TS 19380 “実装へのアプローチ”(日本が主査)とISO/AWI TS 19387 “成熟度モデル”(ドイツが主査)という2つの規格開発が始まりました。

日本が進めるISO/AWI TS 19380 “実装へのアプローチ”を参考にサービスエクセレンスの成熟度を1段階ずつレベルアップしていくことを支援する規格となります。ぜひ活用していただき、組織に変革を起こしていただきたいと思います。

今回の総会では、これらに加え、ISO/AWI 11367“公共サービス組織のための原則及びモデル”も最終段階の議論に入り、インドから多数のエキスパートが参加し、公的組織・准公的組織に対して求められるサービスエクセレンスのモデルに関する議論が活発に行われました。また中国からは、Eコマースに関する規格の提案もありました。

多様な発展段階にある多様な国からのエキスパートらが、サービスエクセレンスを魅力的で有用な規格にして、自国・関係国で活用したいという期待のもと、大変実りある議論を4日間行いました。

日本のみなさまに活用していただきたい規格です。サービスエクセレンスの実装に向けて、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。



水流聡子(東京大学 特任教授)

ISO/TC 312国内委員会委員長、ISO/TC 312/WG 2(サービスの設計)コンビーナ

[ジュネーブ事務所]