2025年10月25日から11月1日にかけ、ISO/TC 207(環境管理)総会がカナダのトロントとZoomのハイブリッド形式で開催されました。TC 207は、環境マネジメントシステムのISO 14001や温室効果ガス(GHG)に関するISO 14064シリーズ規格をはじめとする環境管理に関する国際規格の開発を担っています。
総会期間中には、Pメンバー国75か国、Oメンバー国22か国から、300名を超えるエキスパートが対面で参加しました。日本からは13名のエキスパートが対面で参加し、各会議での議論に参画しました。本総会は、ISO 20121(イベントのサステナビリティ)を適用し、環境に配慮したイベントとして開催されました。
主な審議事項
今回の総会中の、主な規格開発の状況は以下の通りです。
ISO 14001(環境マネジメントシステム)の改訂進捗
SC 1(環境マネジメントシステム)では、ISO 14001(環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き)の改訂について、DIS(国際規格案)コメントの審議が完了し、FDIS(最終国際規格案)投票に進むことが合意されました。
今回のISO 14001改訂は、現行の要求事項の明確化を主な目的としたマイナー改訂となるものの、他のISOマネジメントシステム規格との整合(Harmonized Structure(HS)の適用)、変更管理(新箇条6.3)、外部から提供された製品・サービス・プロセスに関する要求事項の拡大、リスク及び機会に関する要求事項の整理・明確化、ライフサイクルの視点の明確化などが含まれます。
また、ISO 14004(環境マネジメントシステム-指針)についても、ISO 14001の改訂を受けた改訂の必要性について、今後検討することとなりました。
その他の規格開発の進捗
SC 7(GHG及び気候変動マネジメント)では、ISO 14064-5(GHG宣言の検証・妥当性確認の遠隔実施)がDIS可決を経てFDISへ移行することなどが決定されました。また、ISO 14064シリーズ規格の改訂におけるGHGプロトコルとISOとの協同開発に関するプロセスや手順について議論が行われました。
今後の予定
ISO 14001改訂版(ISO 14001:2026)は、2026年1~3月のFDIS投票を経て、2026年4月に国際規格として発行されるスケジュールが見込まれています。


