スマートシティに関する国際標準化活動を行うISO/TC 268(持続可能な都市とコミュニティ)とその分科会(SC 1およびSC 2)の総会が、令和7年10月に、静岡県浜松市で開催されました。
本会議は、スマートシティや持続可能なモビリティに関する国際規格の開発状況を審議することを目的としています。会議には、世界各国から対面参加92名、その他オンライン参加も含めた多くの関係者や専門家が参加し、活発な議論が展開されました。開催地が日本であったこともあり、国内の関係者やエキスパートも多数参加しました。
また、会議に併せて国際ワークショップを開催し、開催地である浜松地域や地元企業による日本の技術や取り組みが紹介され、これを参考に持続可能な都市やモビリティの開発に寄与する国際標準のあり方について議論がなされました。
◆主な審議事項
規格開発の具体的な進捗や今後の活動方針について、重要な決定がなされました。
新たな活動体制の確立
主要なトピックの一つとして取り上げられたのは、現在の体制から、ISO/TC 268、ISO/TC 268/SC 1、ISO/TC 268/SC 2、IEC/Sys Smart Cities、ISO/IEC/JTC 1/WG 11といったスマートシティに関連する異なる標準化グループを統合する「JTC 4」への移行でした。JTC4は2025年5月に正式に設置が決定され、現在、移行後の体制と計画を検討する諮問グループ(AGST)が設置されています。
規格開発の進捗
- ▶ ISO/TC 268/SC 1(スマート都市インフラ)関連:日本提案のISO規格「ISO 37193(スマート都市インフラ-防災-リスクを考慮した事前投資を含む意思決定のためのガイダンス)」について、委員会原案(CD)に寄せられた70件のコメント審議がすべて終了し、次の段階である国際規格案(DIS)に進めることが合意されました。
- ▶ ISO/TC 268/SC 2(サステイナブルモビリティ)関連:日本提案のISO規格「ISO 23098-2(データ共有プラットフォームによるモビリティ監視とサービス)」について、新業務項目提案(NP)投票に進むことが合意されました。
- ▶ ISO/TC 268/WG 5(リスクファイナンス)関連:日本の専門家がコンビーナを務めるWG 5では、「ISO 37106(持続可能なコミュニティのためのスマートシティ運営モデル構築に関するガイダンス)」の審議が進み、最終国際規格案(FDIS)に進むことが決まりました。さらに、「リスクファイナンスにおける物理的な洪水リスク評価の基本原則」に関する予備作業項目(PWI)登録が合意されました 。
- ▶ ISO/TC 268/WG 1(マネジメントシステム規格)関連:低炭素排出都市に関する「ISO 37115(持続可能な都市とコミュニティ ネットゼロカーボン都市)のPart 2(原則と基本)」を予備作業項目(PWI)として登録することで合意しました。
新規提案の再開
JTC 4への移行準備のため、前回の総会で停止されていた新規提案の受付が、2026年6月まで再開されることが各総会で決議されました。
◆今後の予定
スマートシティ関連の国際標準化活動は、JTC 4への移行という大きな変革期を迎えます。JTC 4の新しい体制は2026年初めに共有される予定です 。その後、2026年4月にはJTC 4のオンライン総会が、2026年9月から10月にはフランスでの総会が予定されています。関係組織は、JTC 4へのスムーズな移行に向けて、活動を継続していきます。
[日本規格協会]
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