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電気製品の防水性能はどう変わる?IPX9の追加と国際規格への整合について【JIS C 60529:2026】

電気製品の防水性能はどう変わる?IPX9の追加と国際規格への整合について【JIS C 60529:2026】

2026/02/16

私たちが日常的に手にするスマートフォンやスマートウォッチ。その製品仕様をよく見ると、IP68といったアルファベットと数字の組み合わせが記されています。これはIPコードと呼ばれ、製品が感電・外来固形物(ごみ・ほこり等)や水の浸入に対してどの程度の保護性能を持っているかを示す、世界共通の物差しです。

2026年1月、この保護等級を定めてきた日本の基準が新しくなりました。長年親しまれてきたJIS C 0920がその役割を終え、最新の国際基準と同じ5桁の規格番号に対応したJIS C 60529へと引き継がれました。今回の刷新によって、私たちの身の回りの製品の守る力はどう変わっていくのでしょうか。主なポイントをご紹介します。

水没よりも厳しい激しい熱水に耐える新基準の追加

今回の最も大きな変更点は、水の浸入に対する保護等級に、新たにIPX9というランクが加わったことです。これまでの防水性能で最高クラスとされていたIPX8は、主に特定の条件下で継続的に水中に沈めた状態での強さを示すものでした。しかし、現代の製品がさらされる環境は、単なる水没だけではありません。

たとえば、厳しい衛生管理が求められる医療現場の機器や食品工場の設備などは、高圧かつ高温の水を用いて徹底的に洗浄されることがあります。このような過酷な洗浄に耐えられる性能を評価するために導入されたのが、IPX9(高圧・高温水噴流に対する保護)です。

この試験では、80 ± 5 ℃の熱水を、専用のノズルから衝撃力0.9 N~1.2Nで毎分14〜16リットルという激しい勢いで製品に直接噴射し続け、内部に有害な影響がないかを厳格に確認します。この基準が加わったことで、高度な清潔さや安全性が求められる製品の信頼性を、より明確に証明できるようになりました。

世界中で通用する共通言語としての進化

もう一つの大きな変化は、規格の番号が国際規格(IEC 60529)と同じ 60529 という5桁の数字になったことです。

これまでは日本独自の番号体系である 0920 が使われてきましたが、グローバル化が進む中、規格番号の違いは時に分かりにくさを生んでいました。今回、国際基準と内容を完全に一致させたことで、日本の優れた製品が世界と同じ基準をクリアしていることを一目で伝えられるようになります。これは、製品を輸出する企業にとっても、また信頼できる製品を手に取る消費者にとっても、大きな利便性の向上につながります。

今回、JIS C 0920を引き継いだ JIS C 60529 は、私たちが手にするあらゆる電気製品の品質を支える土台となります。今後、さらに高度な機能や特殊な環境での使用が求められる製品が登場する中で、この最新の基準は日本のものづくりの基盤となります。

最新規格

JIS C 60529:2026

電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)