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ISO/TC 312(サービスエクセレンス)第8回総会及び各WG会合(Zoom開催)レポート

2022/06/07

■開催概要

 サービスエクセレンスの国際規格を開発するISOの専門委員会TC 312(サービスエクセレンス)において、第8回総会及び各WG会合が2022年5月23日~25、27日にオンラインで開催されました。

5月23日(月)
19:00~22:00
ISO/TC 312総会(開会)
5月24日(火)
19:00~20:00
WG 1会合
5月24日(火)
20:00~22:00
WG 4会合
5月25日(水)
19:00~22:00
WG 2会合
5月27日(金)
19:00~20:00
TG1会合
5月27日(金)
20:00~22:00
ISO/TC 312総会(閉会)
■総会の進捗

 今回のTC 312総会には、日本、中国、ドイツ、キプロス、イギリス、バルバドス、インド、サウジアラビア、フィンランド、ウガンダ、スペイン、ISO/IEC JTC 1/SC 40の代表など約30名が参加しました。主な概要は、以下の通りです。

  • 今回の総会では、他TCとのリエゾン関係について確認を行い、次回総会に向けて委員会マネジャーはISO/TC 312 との協力のためのリエゾン代表の指名を求める委員会内部投票 (CIB)を開始することが決議されました。
  • 中国、ドイツ、日本から、新規提案プロジェクトに関する説明が行われました。
  • 中国からは、E-commerce platform operatorsに関するIS(International Standard:国際規格)の新規提案がなされました。
    提案の背景として、デジタルマーケットの急速な変化や産業への影響力、そして物流や他の産業とは異なる特徴を持つことから、この分野の標準化ニーズがあると説明がなされました。27日の総会(閉会)では、本提案のPWI(Preliminary work Item :予備業務項目)(規格開発の第0段階)登録に向けたCIB投票を行うことが決議されました。
  • 日本からは、サービスエクセレンスの実装(Implementation)に関するTS(Technical Specification:技術仕様書)の新規提案がなされました。
    提案の背景として、サービスエクセレンスの必要性に気づいていても、実装力がある組織は限られているため、サービスエクセレンスを確実に実装したい組織を支援する必要があると説明がなされました。27日の総会(閉会)では、本提案のPWI登録に向けたCIB投票を行うことが決議されました。
  • ドイツからは、Maturity model(成熟度モデル)に関するTSの新規提案がなされました。
    提案の背景として、多くの組織はハイレベルなサービスを提供できていたとしても、自社がサービスエクセレンスにおいて、どのレベルにいるのかが分からないため、Maturity modelを用いて、組織が自社のサービスパフォーマンスを測定及び分類、また改善の手助けができると説明がなされました。27日の総会(閉会)では、本提案のPWI登録に向けたCIB投票を行うことが決議されました。
  • 次回、第9回ISO/TC 312総会は2022年10月下旬にオンラインで開催することが決まりました。
■WG 1(原則、モデル及び測定)会合の進捗

 WG 1では、ISO/TS 23686(計測)のDTS投票(実施期間:2021年10月~12月)が終了し、2022年夏頃のTS発行を予定しております。DTS投票で提出された98件のコメントについては、基本的にエディトリアルなもののみ採用し、テクニカル又はジェネラルコメントはDTS投票であるため反映しないと決定したことからWG 1会合では審議及び検討は行わないことが説明されました。
 今回のWG 1会合では、総会で提案がなされたMaturity model(成熟度モデル)に関するTSの新規提案について、より詳細な説明がなされました。主な概要は、以下の通りです。

  • Maturity model(成熟度モデル)及びMaturity level(成熟度レベル)についての説明がなされました。
  • 成熟度レベルの具体的な構成や、成熟度レベルに対応する要求事項・推奨事項の内容、本提案のタイトルについては、今後、WG 1会合で議論を行うことがWG 1コンビーナより説明がなされました。
■WG 2(エクセレントサービスの設計)会合の進捗

 WG 2では、組織におけるサービスエクセレンスの実現を支援することを目的に、各国のサービスエクセレンスに関するベストプラクティスを集めたISO/AWI TR 7179(サービスエクセレンス-サービスエクセレンスの実現のためのユースケース)の開発を日本主導で進めています。
 今回のWG 2会合では、WGコンサルテーション(実施期間:2022年3月~4月)で提出があった45件のコメント(提出国:日・中・独)は概ね採用する方針であることが説明され、具体的な対処方針案について検討を行いました。主な概要は、以下の通りです。

  • “Use case”の置き換えについて
    タイトル中のuse caseの代替案について議論の結果、タイトルは“Practices for achieving service excellence”とすることで合意を得ました。
  • 事例がない要素の取り扱いについて
    追加の事例を募集することで合意を得ました。
  • 図の取り扱いについて
    本規格で用いられている図を修正することについて合意を得ました。
  • 今後、本会合の議論の結果を基に日本がTR 7179の内容を修正し、8週間のCIB投票にかけることとなりました。次回WG 2会合では、CIB投票の結果について議論が行われる予定です。
■WG 4(公共サービス)会合の進捗

 WG 4は、2022年2月に発足しました。
 今回のWG 4会合では、ISO/AWI 11367(公共サービス組織のための原則及びモデル)の2024年頭の発行を目標とした開発に向けて議論を行いました。主な概要は、以下の通りです。

  • ISO/AWI 11367の目的は、次のとおりであるとの説明がWG4コンビーナよりありました。
    • 新しい規格をISO 23592に準拠させ、設計(Design)規格と測定(Measurement)規格の主要な要求事項でこの中核を充実させる。
    • モデルを再定義し、公共サービスの専門分野と整合させる。
    • 関連する定義を特定する。
    • 公共サービスとの関連性について、各条項を評価する。
    • 関連する適用業務を特定する。
  • 本提案のNP投票時に提出されたPublic service(公共サービス)の定義に関するコメントについて対処方針の説明がありました。
  • PublicやCitizenなど、関連用語の定義について、議論を行い、Public service customerという表現に置き換えることが提案され、合意されました。
  • 今後の予定として、本会合での議論の内容を基に、WG 4コンビーナがWDを作成することとなりました。
■TG 1会合の進捗

TG 1では、TC 312マイクロサイトの情報の充実を図るための議論を進めました。

■今後の予定
  • 中国、ドイツ、日本の新規提案プロジェクトは、それぞれPWI登録に関するCIB投票(8週間)を開始します。なおドイツ提案(Maturity model)は、第1原案を用意し、6月にCIB投票を開始します。
  • WG2 :TR 7179のWDをプロジェクトリーダーが7月15日までに修正したのち、7月~9月にCIB投票にかける予定です。
  • 次回総会及び各WG会合:2022年10月下旬にオンラインで開催します。
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