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高齢社会を支える国際標準化の最前線(その2):ISO/TC314韓国総会レポート

高齢社会を支える国際標準化の最前線(その2):ISO/TC314韓国総会レポート

2025/06/27

 ISO/TC 314(Ageing societies =高齢社会)総会が、2025年6月9日(月)から6月13日(金)まで、ソウルの大韓商工会議所(KCCI)で開催されました 。この専門委員会は、高齢社会に対応する社会政策や組織運営に関するガイドラインなどの標準化を進めています 。今回の総会には、幹事国の英国、議長国の米国、開催国の韓国をはじめとして、カナダ、オーストラリア、シンガポールなどの多様な国々からエキスパートが参加し、活発な議論が展開されました 。日本からは、日本HoD (※1)の山田肇氏(日本規格協会フェロー)をはじめとする計13名が参加しました 。



 会議では、昨年、開発が承認された日本提案のISO TR 25554-2 「ウェルビーイング促進事例集(TR)」の審議が進み、次の段階であるCD(委員会原案)に進むことが合意されました 。さらに、「オーラルケア」に関する国際規格(IS)および「介護品質規格」の事例集(TR)のプレゼンテーションが日本から行われ、両件とも賛同を得て、前者は新規提案に進めること、後者は開発着手が承認されました 。

 他国からの提案では、ISO 25556-2「デジタル共生社会規格のチェックリスト」の新規提案がWG 6(デジタル共生社会)で議論され、今後の検討を経て次のステップに進むことが合意されました 。また、「デジタルヘルスに関する配慮事項」の新規提案があり、既存規格との重複を避けるためのマッピング作業を行った上で、議論を進めることが決まりました。さらに、「多世代共生近隣地域」の事例集など続編の新規提案があり、開発の進め方が合意されました。開発中の「スマートホームでのアクセシビリティ・ユーザビリティ配慮」規格についても、コメント処理が完了し、次のDIS(国際規格案)段階に進む予定であることが報告されました。

 その他、会議期間中には、高齢者の就労に関するワークショップが開催され、年齢差別への対策や高齢者の起業支援などについて意見交換が行われました 。また、パンデミックにおける高齢者の困りごとと対応事例の規格化についても検討が進められることになりましたが、他委員会との調整が必要なため継続審議となりました 。

 次回の総会は、2026年6月22日から27日までシンガポールで開催される予定です 。ISO/TC314は、高齢化が急速に進むアジア圏の国々が積極的に標準化活動に取り組んでおり、今後も高齢社会の課題解決に向けた国際標準化の動きが加速していくことが期待されます 。


※1:Head of Delegation


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