
高齢社会を支える国際標準化の最前線(その1):IEC SyC AAL米国総会レポート
2025/06/27
1. 開催概要
IEC SyC(Systems Committee) AAL(Active Assisted Living=自立生活支援)総会が、2025年6月2日(月)から5日(木)まで、米国ダーラムのUL Research Triangle Parkで開催されました 。同総会には、日本をはじめ、開催国の米国、中国、韓国、カナダ、ドイツ等の国々から約25名のエキスパートが参加し、健康寿命延伸や新産業創出への寄与を目指し、高齢者等の日常生活の自立を支援するシステム・サービスに関する国際標準化の議論が進みました 。なお、IEC SyC AALでは、2024年に幹事国が日本へ移管されており、日本からは、国際幹事の山田肇氏をはじめ、国内関係者約10名が議論に参加しました。

SyC AAL開催 会議室
2. 主な決定事項
今回の会合では、注目すべき進展が多数ありました。日本提案では、IEC 63168(コネクティッド住宅環境における機能安全)のCD2への移行、IEC SRD 63659(AALユーザーとAALシステムの協調)の新規提案承認・開発開始が決定したほか、個人データの利活用ガイドラインに関する議論が行われました 。一部の参加国からの提案では、IEC SRD 63658(スマートスピーカーを用いたAALサービスの一般要件)が承認され、IEC SRD 63642(AALシステム及びサービス開発・実装の一般要件)の議論継続が決まりました 。
尚、全体事項として、ISO/IEC Directivesの改訂に関する情報(2026年にISO・IEC・JTC1統合版出版予定)やAI利用時の著作権に関する注意事項等が共有されました。
3. 今後の予定
次回の総会は2026年11月にドイツのハンブルグで開催される予定です 。2027年は、シンガポールでのIEC総会招致を目指していますが、状況によっては日本が代替候補地となる可能性もあります 。日本のプロジェクトは順調に推進し、AAL分野におけるプレゼンスを維持しています。

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