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ISO 45006:2023 労働安全衛生マネジメント- 感染症の予防、制御及び管理に関する組織の指針

2024/04/15

2023-12-20に労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45000シリーズ)関連の新たな規格が発行されました。
※邦訳版(日英対訳)あり

ISO 45006:2023

労働安全衛生マネジメント-感染症の予防と管理に関する組織のガイドライン
Occupational health and safety management -- Guidelines for organizations on preventing, controlling and managing infectious diseases

この記事では、ISO45006が開発された経緯や規格の狙いを分かりやすく解説します。

■なぜISO45006は開発されたのか?

感染症は、人間に重大な被害を与え、組織に多大な混乱をもたらす可能性があります。また、気候変動、人口増加、人の移動の増加、他の感染源や進化する感染症病原体との濃厚接触により、感染症によるリスクは増大しています。
組織は、増大する新たなリスクに注意を払い、それらを管理するための十分な備えをする必要があります。

しかしながら、比較的簡単な対策で、感染症に罹患したり、感染が蔓延したりする可能性を大幅に減らすことができます。そのためのガイドラインをISO45006として開発しました。

■ISO45006のターゲットは?

ISO45006で提供されるガイダンスは、事業の性質、規模、複雑さ、事業の分野や場所に関係なく、組織に適用できる一般的なものであり、労働安全衛生を含む専門的な機能を利用できる大規模な組織にも、そのような専門的なリソースを持たない小規模な組織にも有用です。
ISO45006は、組織が、感染症によるリスクを管理するために既に実施されている取り決めを見直し、必要な場合には強化することを支援します。また、組織が、このような取り決めを初めて導入しようとする場合にも、非常に参考になります。

■ISO45001との併用を意図しているか?

ISO45006は、ISO45001の使用の有無にかかわらず、どの組織でも独立したガイダンス文書として使用できます。ISO45001は、組織の労働安全衛生マネジメントシステムの全体的な枠組みと要求事項を提供しています。

ISO45001を使用している組織の場合、どちらもPDCAサイクルに基づいているので、ISO45006のガイダンスは、ISO45001と同様に使用することができます。

■何をカバーするのか?

ISO45006は、感染症を予防したり、労働者やその他の関係者の間での感染の蔓延を抑制したりするために、感染症の管理と制御に必要な枠組みを提供し、そのプロセスを記述しています。
伝染性か非伝染性かを問わず、感染症に適した管理策を実施するためのガイダンスと例を示しています。
感染症が疑われる、又は確認された場合の管理に関するガイダンスを提供しています。また、リーダーシップ、労働者の参加、役割と責任、力量、緊急事態への準備と対応、パフォーマンス評価など、効果的な実施を支援し、維持するために必要な主要素についても記述されています。

■どのような内容が含まれているか?

ISO45006では、まず、既知の感染症や新興の感染症、また、組織の業務に影響を及ぼす可能性のある感染因子に関する知識と理解を深めることから始めることを勧めています。

人々に重大な危害を及ぼす可能性のある感染症と、多数の労働者が感染した場合に組織の活動に支障をきたす可能性のある、それほど深刻ではない感染症の両方に焦点を当てることを推奨しています。

感染症に罹患した人に限定せず、感染症が心理的な健康やウェルビーイングに及ぼす影響を考慮することが重要だとされています。一方、感染症の発生に対応して組織が講じる対策自体が、労働者への心理的危害のリスクを増大させる可能性があることも注意する必要があります。

パフォーマンスを評価し、必要な変更、改善の機会、又は追加的なリソースの必要性を特定するために、先行指標と結果指標を一体として使用することを推奨しています。

感染症の重篤度は、基礎疾患や個人的な要因によって個人差があるため、ISO45006は、感染症からのリスクを管理するための取り決めを行う際に、感染症に罹患した場合にリスクが高くなる可能性のある労働者やその他の関係者の多様性を十分に考慮する必要性を強調しています。

女性である、妊娠中である、最近出産した、脆弱性を持つ人々の介護や同居をしている、高齢である、基礎疾患があるといった労働者の特定のニーズとともに、年齢、性別、社会経済的状況などの要因を考慮することの重要性を強調しています。
また、感染症とは無関係の障害を持つ労働者(例えば、視力、聴力、運動能力に障害を持つ労働者)に対して、組織がリスク管理策を調整又は適応させることが必要な場合もあると指摘しています。

■ISO/PAS 45005:2020はどうなるのか?

ISO/PAS45005は、Covid-19という一つの感染症に特化したガイダンスを提供しているのに対し、ISO45006は、労働者やその他の関係者がさらされる可能性のある全ての感染症によるリスクに組織が対処するための、より一般的なガイダンスを提供するものです。したがって、ISO/PAS45005は現在の形で維持され、ISO45006はそれを補完しますが、取って代わるものではありません。
なお、ISO/PAS45005の将来は2026年に見直され、その時点で廃止されるか、又は必要な更新を行い、国際規格(IS)又は技術仕様書(TS)として再出版される予定です。