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ISO17100認証 登録組織インタビュー(アイ・ディー・エー株式会社)

2021/03/31

ISO17100認証 登録組織インタビュー(アイ・ディー・エー株式会社)
2017年10月にISO17100を認証取得されました「アイ・ディー・エー株式会社」様に翻訳サービス提供者認証に関しての活動について伺いました。

ISO 17100とは?
ISO 17100(翻訳サービス-翻訳サービスの要求事項)は、翻訳サービスの品質及び引渡しに直接影響を及ぼす翻訳プロセスのあらゆる側面に対する要求事項を規定した国際規格です。
品質の高い翻訳サービスに必要な、コアプロセスの管理、翻訳実務者の資格・力量の管理、資源の可用性及び管理、その他の処置に関する要求事項について、翻訳サービス提供者を対象に規定しています。

くわしい情報は審査登録事業部サイトをご参照ください。
ISO17100認証概要ページはこちら

   
翻訳・制作部 マネージャー 安藤 文彦 氏     翻訳・制作部 サブマネージャー 寺西 澄恵 氏

事業紹介

 アイ・ディー・エー株式会社は1997年に大阪で創業しました。創業当初から翻訳だけではなく、お客様のご要望に応じて翻訳から印刷物、ウェブなどの制作までワンストップ体制で行っています。
 また、日本語から英語、英語から多言語と展開をする案件が多く、英語ネイティブのスタッフも常時いる体制で、特に英語の品質にこだわっています。最近では、DX関連のソリューションなど最先端の技術も取り入れて効率の良いサービスを提供しています。機械翻訳を活用したサービスも提供しており、お客様のご要望に応じて翻訳を行っています。

ISO17100認証取得の背景

―ISO17100認証取得の目的はどのようなものでしたか?
寺西氏:
 海外の事情に精通している弊社の社長が、世界では翻訳のISOが早くから認知されていて、国際規格に沿って仕事を標準化していくことの重要性を認識していました。弊社の中でも、個人のやり方に依存してはいけないという考えがありましたし、海外からのお問い合わせがもともとあったことや日本でもISO17100が普及し始めていたという背景があります。
 そこで、国際的にも通用する仕事のやり方を取り入れて、クライアントからISOの要求があっても対応できるように、またクライアントからより信頼を得られるように、認証取得を目指しました。

―審査のご準備の中で苦労された点はありましたか?
寺西氏:
 弊社の業務プロセスのどの部分が、要求事項のどの部分にあたるのかを結びつけることが難しかったです。最初に要求事項を読んだ時にはわからなかったことも、規格をよくよく紐解いていくと、求められていることと私たちがそれまでやってきた仕事のやり方は通じるところが多いと気付きました。あとは、弊社業務のどの記録や文書を使ってどのように説明をすれば要求事項を満たせるかということに注力しました。ISO17100の内容に私たちの業務を照らし合わせていくと、すでに実施していた項目が多かったので新たに取り入れなくてはいけないプロセスはほとんどありませんでした。取り組んだこととしては、複数存在していた業務マニュアルを整理して一元化したことです。

安藤氏:
 審査のために、普段何となくやっていた業務をきっちりまとめるという作業はそれなりに大変でしたが、もともとの業務の流れが大きく変わるということはなかったので、特に社内の抵抗感もありませんでした。これは社内の業務の確認をするきっかけになり良かったと思っています。

認証取得の効果

―社内に変化はありましたか?
寺西氏:
 認証を取得する前は、業務のやり方は決まっていたものの、やはり個人に依存する部分がありました。ISO17100に沿ったマニュアルを整備して業務の基準を作ったことで、迷いや不明瞭な部分が消え、個人によって仕事のやり方が違う、ということが随分と少なくなりました。
 このマニュアルは、新人からベテランまで幅広く業務の基準を周知できるツールになったと思います。新人もベテランも同じマニュアルを見て仕事をするので、ベテランにとっては自分がそれまでこういう風に仕事をしていたけれど標準のやり方はこうなのだと確認ができますし、新人にとっても業務が明確に示されているので分かりやすいものになりました。

―外部からの要望に変化はありましたか?
寺西氏:
 ISO17100の認証の有無を確認するクライアントもいらっしゃるので、取得して良かったと思います。また、弊社は海外の翻訳会社と協業することも多いのですが、そのパートナーもISOを取得していることがありますので、案件自体がISO基準の仕事として受注できるという機会がありますね。

安藤氏:
 ISO17100が条件になり、認証を持っていないと仕事を獲得する土俵にも上がれないという案件が今後も出てくると思います。そういう意味でも認証を取得して良かったですね。
 その他には、営業の時などクライアントと話をする時に、品質の証明のために「翻訳にもISOというものがありまして」と説明することで安心していただけるので非常に役立っています。

寺西氏:
 何年か前にある企業様から社内に翻訳部門を立ち上げたいというご相談があり支援させていただいたことがあります。その時にもISOの基準に則って必要な文書や業務方法をお伝えすることができましたし、我々がISO認証を取得しているということで、企業様にも安心感を持っていただけました。

-認証取得をどのように活用・PRしていますか?
寺西氏:
 ウェブサイトやパンフレット、名刺などに記載しています。他にも、先ほどもお話に出ました通り、クライアントと話をする時に、翻訳にもISOがあるということをご説明してPRしています。まだまだクライアントの中ではISO17100が認知されている感じはありませんが、ご存知ないだけにインパクトや意外性があるようです。さらに、翻訳者の募集や、校正者や新入社員の募集、パートナーの募集のPRにもなっています。

-契約している翻訳者の反応はどのようなものでしたか?
寺西氏:
 ISOの資格を満たす翻訳者であることを喜んで受け止めていただいているのと同時に、力量を維持・向上しなくてはいけないという緊張感もあるようです。弊社も翻訳者へのフィードバックやセミナーの案内、ツールの紹介や使用方法の案内などは積極的に行っていますし、翻訳者にも熱心な方が多いです。弊社は昨年から日本翻訳連盟が開催するセミナーの企画・運営にかかわるようになり、できるだけ翻訳者のためになるセミナーを作りたいという思いがあります。弊社に登録している翻訳者にはぜひ参加して欲しいので、こちらから翻訳者にご案内することがあります。
 ISO17100の要求事項の中に、翻訳者の力量の維持・向上の記録を保持することが求められていると思います。社員は研修やスキルチェックを行っていますが、翻訳者には何が役立つのか難しい面がありました。翻訳者に力量維持のための取り組み内容等についてアンケートを取ったのですが、審査でそれをお見せすると審査員が評価してくださって、こういった取り組みも力量の維持・向上に寄与するということを教えていただきました。

ISO27001(ISMS)との組み合わせ

-ISO17100を取得した翌年にISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム:ISMS)も取得していただきました。ISMSの取得の経緯について教えてください。
寺西氏:
 ISO17100とは別にISMSが必要だと考えています。情報セキュリティは取引をする上での重要事項としてクライアントから確認いただくことも多いです。ISMSを取得していることが、メールやサーバーを厳格に管理しているという証明になりますので、クライアントと取引をする中で必要性を感じて取得しました。世間的な要望も高まってきていると感じています。弊社でもサーバーを管理していることや、色々なIT技術を導入しているので、「対お客様」だけではなく社員教育の一環という狙いもあります。
 ISO17100の中にも情報セキュリティの項目はありますが、ISO17100を運用する中でさらにISMSを持っていれば、より強固なセキュリティの証明にもなります。翻訳の中でも機密文書を扱うことは多いですし、やはり双方持っているメリットはあると思います。

―外部からの反応はありましたか?
寺西氏:
 ISMSについてはISO17100より訊ねられることが多いですね。毎年情報セキュリティに関する確認書類の提出を求められるクライアントもいらっしゃいますし、商談でもISMSについて確認されることもあります。

安藤氏:
 クライアントによっては、取引開始時や年1回の監査で、セキュリティについて細かい質問をたくさん受けるのですが、最初にISMSを取得していると言うと、細かい質問に答えなくても良くなることがあります。双方にとってメリットがあるものだと思います。安心感という面で認証を要求されることもありますし、ISMSを持っていることでクライアントとの話が早くなるメリットは大きいと思います。

ISO認証を維持していく工夫

-ISOの仕組みを翻訳の仕事に取り入れることで工夫している点はありますか?
寺西氏:
 翻訳者の力量の向上につながるような機会を提供することに関わっていきたいと思っています。それから、弊社では案件管理システムなども早くから導入して効率よく仕事を行おうと取り組んでいますが、案件手配や受発注、請求処理など自動化できる工程を増やし、よりシステマティックにやっていきたいです。それがやがて翻訳サービスの向上に繋がると思っています。
 業務マニュアルも認証取得の初年度に作成しましたが、少しずつ改訂し内容を充実させています。何かを決める度に業務マニュアルに追記することが日常的に行われていて、マニュアルをバージョンアップしています。これは審査のためというよりは、ISO認証を取得したことをきっかけに情報を整理する癖がついたという感じですね。現場作業者のレベルのばらつきをなくすということにも繋がっていると思います。もちろん新人とベテランがいて、新人はまだISOの資格・力量はないのですが、ISO基準というものを理解して作業することで、早くレベルアップすると思います。

安藤氏:
 仕組みの維持というところだけではなくて、仕組みを維持しながら効率化をしていきたいと考えています。システムも色々利用していますが、自動化できる部分は自動化していくこと、そこが肝になってくるかと思います。ISOに則った仕事では色々な記録を残していく必要がありますが、以前は人の手でやっていた部分もどんどん自動化していく、このような習慣が生まれてきていると思います。ISOの取得が業務プロセスの維持だけではなくて、継続的な改善に繋がっていると思います。

―機械翻訳や、最新ツールをどのように活用されていらっしゃいますか?
寺西氏:
 最近広がってきている機械翻訳には弊社も関心を持っていて、ここ1~2年でサービスを提供し始めています。クライアントからの要望や問い合わせも増えていますし、現在では人の手による翻訳と機械による翻訳の違いをわかってもらえるようになってきたこともあり、ご納得いただけるクライアントにはサービスを提供しています。
 機械翻訳の要望というのは今までも潜在的にあったと思います。翻訳は高価なサービスで、丁寧に訳すものというのが今までの既成概念だったかと思いますが、でも実は、社内の会議資料や内容把握目的の資料などにそんなに費用はかけられない、だけどざっと内容を知りたいとか、急ぎで翻訳してほしいとか、多岐に渡るニーズに対応したサービスの重要性も感じていました。これまで我々は品質にこだわってきましたが、機械翻訳を使って、案件によっては料金やスピード重視というようなクライアントの幅広いご要望に柔軟に対応したサービスを提供していこうとしています。

安藤氏:
 機械翻訳は(翻訳の)選択肢になると思います。品質ばかりを重視しても今後成立しない案件も出てくるかと思います。クライアントのご要望をきちんとお伺いして、案件毎に求められる品質条件などを確認することが重要になってきます。そういう意味では、ISO17100でも求められている、引き合い段階での案件の実施可能性の判断というのは非常に大切な要素になってくると思います。

今後の目標

―次に目指すゴールを教えてください。
寺西氏:
 ISOに準拠した翻訳のサービスとそうではないサービス、さらには機械翻訳、これらの性質をクリアにして提供していくことが重要だと考えています。ISOに則ったサービスは高品質な翻訳商品として確固とした位置づけであることに変わりはありませんが、よりクライアントや案件毎に適した翻訳をしていきたいと思っています。単なる翻訳ではなくて、クライアントごとに要望に合わせたサービスを提供できるようにしていきたいです。

安藤氏:
 多様化するニーズに応えるということですね。高品質なのか、ISO準拠なのか、機械翻訳でさらっとやるのか、機械翻訳を使ってある程度のレベルにするのか。でもやはりベースにある最も大切なものは品質だと思っています。我々は翻訳メモリや用語集を非常に重要視しています。これを翻訳資産と呼んでいて、人の手できっちり翻訳した資産を運用するという考えが土台にあります。翻訳資産を学習データとして使うことで、機械翻訳の精度を上げることもできます。今後はこの機械翻訳とISOを運用して培った品質・技術・知識をうまく融合させ、新たな展開をしていきたいと思っています。

寺西氏:
 やはりISOに準拠した方法が基本としてあり、その土台があるからこそ他のサービスも展開できると思っています。

これからISO17100に取り組む組織へアドバイス

―これから認証取得を目指す組織へアドバイスをお願いします。
寺西氏:
 我々にとってISO17100認証の審査を受けることは、今まで自分たちがやって来た仕事のやり方を見直したり整理したりする良い機会になりました。もちろん認証を取得すると会社のPRになるというメリットもあるのですが、自分たちの業務フローや記録の管理といったものを見直す良いきっかけになります。単に認証を取得するという目的だけではなくて、真に自分たちのためになるということを、私たちの経験からお伝えしたいです。今まで分散されていた情報を体系化し、基準を整備すると、それに則って業務を遂行すればいいですし、認証取得のための取り組みは大きなプラスになったと実感しています。

安藤氏:
 資格や審査のためだけに体制を作ると、すぐに運用に耐えられなくなると思います。弊社にはもともときちんとした業務プロセスが根付いていたので、それをワークフローに入れ込むことは難しくありませんでしたが、そうでない組織が審査のためだけに取り組もうとすると、それこそ品質が維持できないと思うので、自分たちが翻訳サービスの品質をよくするのだという思いが優先されるべきだと思います。


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『JIS Y 17100:2021
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