EN 18286~EU AI法のための整合規格
2026/07/16
EU(欧州連合)のAI Act(AI法)の規制開始に向け、欧州標準化機関(CEN/CENELEC)1)が整合規格(Harmonized Standard: hEN)2)策定のピッチを上げている。この度、整合規格の第一弾となるEN 18286が投票を終え、近日中に発行されるとのことだ。
EN 18286: Artificial Intelligence - Quality Management System for EU AI Act Regulatory Purposes 人工知能 – EU AI法規制目的のための品質マネジメントシステム
AI法第17条(Article17)3)では、高リスクに分類されるAIシステムを提供する企業に対し品質マネジメントシステムを構築・維持することを求めているが、整合規格であるEN 18286に適合することにより、AIシステムの提供者は、AI法第17条に規定される品質マネジメント要件を満たしているとみなされることになる。
AIシステムを管理・統制するための規格としては、2023年12月に発行されたISO/IEC 420014)が注目を集めているが、EN 18286との関係が気になるところである。
ISO/IEC 42001は、組織がAIシステムを安全かつ責任を持って開発・提供・利用するための「AIマネジメントシステム」に関するもので、AIの倫理、透明性、継続的なリスク管理を組織のガバナンスに組み込むための枠組みを提供する、「組織」向けの規格である。
EN 18286は、AI法第17条に規定される品質マネジメントシステム要求事項に対しどのように対応するかに特化し、「製品(AIシステム)」の具体的な品質管理プロセスを規定するものである。
両規格は補完的な関係にあり、組織はISO/IEC 42001をベースにAI管理体制の土台を作り、その土台の上に、EN 18286を用いてAI法特有の要件への対応を上乗せするという使い方をすることができる。
EN 18286は7月中の発行を見込まれているが、以下の4規格も現在パブリックコメント募集中で、2026年中~後半にかけての発行、整合規格としての官報公示を目指しているとのことである。
EN 18228:AI Risk Management
EN 18282:Artificial intelligence - Cybersecurity specification for AI systems
EN 18229-1:AI trustworthiness framework – Part 1: Logging
EN 18288:Artificial intelligence – Taxonomy of AI tasks in computer vision
用語解説
1)CEN/CENELEC:欧州標準化委員会/欧州電気標準化委員会
2)整合規格(Harmonized Standard: hEN):欧州標準化機関がEU 規則 1025/2012に基づいて策定し、欧州連合官報に公示された技術仕様。これに適合する場合、該当する EU 指令の要件を満たしている(適合性の推定)とみなされる。
3)AI法第17条:高リスクAIシステムの提供者(開発者や企業)に対し、品質マネジメントシステムの構築・維持しなければならない品質管理体制について規定。
4)ISO/IEC 42001:Information technology – Artificial intelligence – Management system 情報技術‐人工知能‐マネジメントシステム
[日本規格協会]


