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ISO/TC 321(電子商取引におけるトランザクション保証)第12回総会レポート:電子商取引の信頼性確保に向けた国際標準化の動向

ISO/TC 321(電子商取引におけるトランザクション保証)第12回総会レポート:電子商取引の信頼性確保に向けた国際標準化の動向

2025/12/09

開催概要

 電子商取引関連の上流・下流プロセスにおけるトランザクション保証のための国際規格を開発するISO/TC 321(電子商取引におけるトランザクション保証)の第12回総会が、2025年11月18日(火)から20日(木)にかけて開催されました。会議は、スリランカのコロンボで開催され、オンラインとのハイブリッド形式が採用されました。
 総会には、オンライン参加を含めて、Pメンバー(参加メンバー)全17カ国のうち、8カ国の代表、およびリエゾン機関の代表を含む約40名の国際専門家が参加しました。日本からは、日本代表メンバー、専門家らが、オンラインまたは対面で参加しました。会議の冒頭では、総会ホストであるスリランカ規格協会(SLSI)から、デジタル取引における信頼構築とセキュリティ確保における規格の重要性が強調されました。

ISO/TC 321総会での集合写真
ISO/TC 321総会での集合写真



主な審議事項

 今回の総会では、電子商取引における複数の分野で規格開発の提案が進められ、特に新規プロジェクトの検討が活発に行われました。

[規格開発プロジェクトの進捗]
 WG2(Framework)会議では、既存の規格開発プロジェクトの進捗確認と今後のステップが検討されました 。
・ISO 32125 "ECプラットフォーム上の取引関連情報の開示の指針"については、WD1(作業原案1)コメントへの対応が決定され、WD2(作業原案2)への意見募集後、2026年1月にWG2会議を開催して対応を検討することが合意されました。
・ISO/TR 32113 "eショップに関する電子商取引顧客体験のユースケース"については、プロジェクトリーダーがテンプレート案と調査項目を開発し、WGメンバーへ回付後、2026年1月にWG2会議を開催して議論を進めることが合意されました。

[新規規格開発提案の決議]
 将来の作業を検討するSG2(Future work)会議での議論に基づき 、TC総会では以下の新たな標準化テーマについて決議が行われました。
・B2C電子商取引における消費者救済の指針(ISO/PWI 32126)は、NP(新業務項目提案)投票の開始が承認されました。
・以下の3つの提案テーマについて、PWI(予備業務項目)としての登録が承認されました。
 ・不正取引リスク軽減の手引
 ・顧客サービス担当者向けサービス品質評価フレームワーク
 ・電子商取引における個人情報漏洩インシデント対応仕様

今後の予定

 ISO/TC 321の標準化活動は今後も継続され、デジタル取引の範囲の拡大やAI技術の導入など、電子商取引を取り巻く環境の変化がもたらす新たな課題に対応した、国際規格の必要性が議論される見通しです。次回の総会は、2026年5月及び11月に開催予定です。



[日本規格協会 システム系・国際規格開発ユニット]


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