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【注目JIS】クレーン(荷重及び荷重の組合せに関する設計原則)についてのJISを発行しました(JIS B 8833-5)

【注目JIS】クレーン(荷重及び荷重の組合せに関する設計原則)についてのJISを発行しました(JIS B 8833-5)

2025/08/21

一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)は、2025年7月25日にJIS B 8833-5:2025(クレーン-荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 第5部)を発行いたしました。各規格の改正に至った背景や、改正に伴い期待されることをご紹介します。

JIS B 8833-5:2025
クレーン-荷重及び荷重の組合せに関する設計原則-第5部:天井走行クレーン及び橋形クレーン
Cranes-Design principles for loads and load combinations-Part 5: Overhead travelling and portal bridge cranes

■JIS B 8833-5はなぜ改正されたのか?

 この規格は、1992年制定のISO 8686-5を基にして2008年に制定されたもので、天井走行クレーン及び橋形クレーンの限界状態設計法に基づく荷重の組合せ及び諸係数の値について規定したものです。
 ISO 8686-5(以下、対応国際規格という。)は2017年に巻上げに係るクレーンへの影響等をより実際の現象に合致させることを目的として第2版として改訂されています。
 我が国において、ISO規格に基づき設計及び製造されたクレーンを輸出入する際の判断基準として、対応国際規格を使用することも想定されています。このため、対応国際規格とJISとで乖離のある状態が続けば、設計及び製造の効率化等に影響を及ぼすことになります。こうした国内外の変化及び我が国の強制規格上の要請に対応しつつ、対応国際規格と整合させるためにこの規格の改正が必要です。

■JIS B 8833-5の改正に期待されること

 改訂された対応国際規格と整合し、国内特有の環境を考慮した規格の整備によって設計・製造されたクレーンが市場に投入されることで、より高い安全性を確保し労働安全の促進が図れ、生産性向上及び国際競争力の向上、並びに国際貿易の円滑化及び国際協力の円滑化が期待されます。
主な規定項目・改正点は次の通りです。

・動的影響係数(φ₁、φ₄、φ₅)の算出方法について、具体的な算定条件を追加する。
・地上に置かれた荷の巻上げによる荷重について、実情に合わせて、動的影響係数(φ₂)の算出方法を変更及び?₂tから巻上等級を選択するよう改める。
・スキュー(蛇行)による荷重について、クレーン/トロリの構造配置及び構造の剛性に応じてスキューによる荷重の計算方法を追加する。
・緩衝器への衝突及び装置の故障又は部材の損傷による荷重について計算方法を追加する。 ・ロードリミッターによる巻上動作の動作遮断の荷重、適用荷重・荷重の組合せ及び係数について実情に合わせて規定する。
・適用荷重・荷重の組合せ及び部分荷重係数γPを、実情に合わせて変更する。

[日本規格協会]