
【注目JIS】模型によるポンプ性能試験方法についてのJISを発行しました(JIS B 8327)
2025/08/21
一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)は、2025年8月20日にJIS B 8327(模型によるポンプ性能試験方法)を発行いたしました。各規格の改正に至った背景や、改正に伴い期待されることをご紹介します。
JIS B 8327:2025
模型によるポンプ性能試験方法
Testing methods for performance of pump using model pump
■JIS B 8327はなぜ改正されたのか?
この規格は、実用の大形ポンプ(以下、実物ポンプという。)の受渡検査として、実物ポンプに対応した模型ポンプで行う性能試験方法(キャビテーション試験などを含む。)について規定したものです。
現行の規格では、クローズインペラの形状測定位置が、模型ポンプと実物ポンプの相似性を示す羽根車入口ではないため、使用する際に混乱を生じる恐れがあります。また、模型ポンプのキャビテーションと実物ポンプのキャビテーションとの間の相似については、回転速度の違いによる正味吸込ヘッド(NPSH)の換算式の記載はありますが、模型比に関する相似則は周知の事実として明示されていません。さらに、引用規格のうちJIS B8301(遠心ポンプ、斜流ポンプ及び軸流ポンプ)は2018年8月に改正され、引用先などが変更されており、整合を図る必要があります。これらのことから、最近の試験実態に即した内容にするため、このJISを改正する必要がありました。
■JIS B 8327の改正に期待されること
この改正によって、クローズインペラの形状の測定位置が適正になり、模型ポンプと実物ポンプとの間のキャビテーションの相似則も明示されるため、正しく試験が行われ、模型ポンプから実物ポンプへの性能の換算がより正確になることが期待されます。また、引用規格であるJIS B 8301との整合性が保たれることから、使用時に混乱を起こさないようになり、取引の円滑化が期待されます。
主な規定項目又は改正点は、次のとおりです。
1) 模型ポンプの構造において、図4(斜流ポンプ羽根車の寸法測定箇所の説明図)のa)のH寸法の測定位置を、正しく相似性が取れる位置に修正する。
2) 実物ポンプへの諸量の換算において、表面粗さの式をSI単位に変更する。
3) 試験結果の判定において、模型比に関するキャビテーション相似則が明示されていないため、キャビテーションの換算式を追加する。
4) 実機ポンプインペラの羽根入口開き(A1)の寸法許容差を変更する。
5) 引用規格であるJIS B 8301の改正に伴い、引用先を改める。
[日本規格協会]