
【注目JIS】内燃機関に関する規格を発行しました(JIS B 8032-2,8032-9)
2025/07/23
一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)は、2025年7月22日に内燃機関に関する2点のJISを発行いたしました。各規格の改正に至った背景や、改正に伴い期待されることをご紹介します。
JIS B 8032-2:2025
内燃機関-小径ピストンリング-第2部:測定方法
Alloy steel tubes for machine purposes
■JIS B 8032-2はなぜ改正されたのか?
この規格は、往復動内燃機関に使用する呼び径200 mm以下のピストンリングの測定方法について規定するもので、ISO 6621-2:2003を基に制定され、2016年に改正されました。その後、2020年にISO 6621-2(以下、対応国際規格という。)は、エンジン性能低下を招く燃焼ガスの吹き抜けに対して、リング下面のうねりが重要な因子となることから、その測定方法として、下面円周方向のうねり測定を追加する改訂が行われました。したがって、この規格において、市場の実態に即した内容に改正するとともに、対応国際規格に整合するため、改正を行う必要がありました。
■JIS B 8032-2の改正に期待されること
改正により、最近の生産状況の実態に即した規格となり、生産者と使用者との相互理解の促進及び市場の要求に応じた製品の普及が期待でき、また、最新の国際規格と整合することにより、輸出入の障壁となることを防ぎ、市場の拡大が期待されることが期待されます。
主な規定項目又は改正点は、次のとおりです。
1) 測定方法において、リング下面の円周方向のうねりの測定方法を追加する。
2) 合い口隙間の測定において、関連規格よりも小さい隙間の場合は、精度を向上させた方法(例えば、光学的技術)で測定することを追加する。
3) 対応国際規格の構成が変更されたことに基づき、用語及び定義を追加する。
内燃機関-小径ピストンリング-第9部:鋳鉄製キーストンリング
Carbon steel tubes for general structure
■JIS B 8032-9はなぜ改正されたのか?
この規格は、往復動内燃機関に使用する呼び径200 mm以下のピストンリング(鋳鉄製キーストンリング)の一般諸元について規定するもので、ISO 6624-1:2001を基に制定され、2018年に改正されました。現行規格では、リングの種類やコード、呼び方、コーティング部形状、表面の機械加工及びコーティング厚さ等について規定していますが、その後、2017年4月にISO 6624-1(以下、対応国際規格という。)は、生産者からPVDコーティングが広く普及してきたので、この規定を追加すべきとの要求に基づき、PVDのコーティング厚さを追加する改訂が行われました。したがって、この規格において、市場の実態に即した内容に改正するとともに、対応国際規格に整合するため、改正を行う必要がありました。
■JIS B 8032-9の改正に期待されること
改正により、最近の生産状況の実態に即した規格となり、生産者と使用者との相互理解の促進及び市場の要求に応じた製品の普及が期待でき、また、最新の国際規格と整合することにより、輸出入の障壁となることを防ぎ、市場の拡大が期待されます。
主な規定項目又は改正点は、次のとおりです。
1)リングのタイプ及び呼び方において、図表を対応国際規格に整合し、キーストンリングの図に対してY矢視及びZ矢視の表記を追加する。
2)コーティング付きリングのコーティング部形状において、コーティング部形状の溶射記号を対応国際規格へ整合させ、PVDコーティングに関する厚さの規定及び記号を追加する。
3)張力補正係数において、溶射記号を対応国際規格へ整合させ、PVDコーティングの記号を追加する。