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標準化 最新動向

ISO/TC 324(シェアリングエコノミー)第5回国際会議(Zoom開催)レポート

2021/07/21

 シェアリングエコノミーの国際規格を開発するISOの専門委員会TC 324(シェアリングエコノミー)の第5回国際会議が開催されました。第5回となる今回の会議は、前回に引き続きオンラインでの開催となり、6月21日~25日の全5日間、日本時間で夜10時から深夜1時まで開催され、日本、カナダ、アメリカ、中国、フランス、イタリア、シンガポール、インド、イラン、ロシアのほか、外部団体としては、国際消費者機構や中小企業標準化団体などから約41名が参加しました。日本からは、議長の持丸氏(産業技術総合研究所)をはじめ、委員会マネージャーを務める遠藤、高井、シェアリングエコノミー協会、産総研から計5名が出席し、シェアリングエコノミーの国際ルール形成に向けた議論を行いました。

ISO 42500(一般原則)が最終フェーズへ
 シェアリングエコノミーの基本用語の定義と原則を規定したISO 42500の規格案がISOの全加盟国に回覧され、投票の結果、多数の賛成を得て承認され、発行に向けた最終承認段階であるFDISに進むことが決議されました。議論を積み重ねた結果、シェアリングエコノミーは、シェアリングエコノミーの事業者とサービス提供者がイコールでないこと、(しばしば)遊休資産を用いること、ピアツーピアであることなど定義されています。尚、今回、ISOの助言により規格タイトルが「用語・原則」から「一般原則」に変更になりました。

シェアリングエコノミープラットフォ―ムのための国際標準開発が進行
 シェアリングエコノミーの安心安全な取引の促進のためデジタルプラットフォームの果たすべき機能を規定した国際標準、ISO/TS 42501(デジタルプラットフォームの一般要求事項)とISO/TS 42502(提供者の検証のガイドライン)の2つのプロジェクトの審議が行われました。会議前にはWG2コンビーナの渡辺氏(日本)とWG3コンビーナのYao Xin氏(中国)が準備したWD(作業原案)が会議前に回付され、各国のエキスパートより100件程のコメントが提出されました。
両コンビーナの丁寧な会議進行により、1つ1つのコメントを会議出席者のコンセンサスを得ながら議論し、WDに反映しています。議論は総会期間中だけでは終わらず、今後、7月~8月にかけて複数回会議を開催して原案を仕立てていく予定です。

SDGsとシェアリングエコノミー
 委員会マネージャー(JSA 遠藤)の呼びかけでシェアリングエコノミーの国際標準化のロードマップを策定するための議論がスタートしました。先ずは、シェアリングエコノミーがどのようにSDGsに貢献するのか、各国からユースケースを持ち寄って議論を進めることになりました。日本からも、シェアリングエコノミーが地方創生等の社会課題解決に貢献している事例などを積極的に紹介していきたいと思います。

ISO/TC 324ウェブサイト準備中
 ISO/TC 324の国際標準化活動の発信や新たなステークホルダーの巻き込みのため、ISO/TC 324ウェブサイトの創設、SNSの積極活用などの検討が行われています。ウェブサイトについては、多言語に対応する予定で、翻訳者の募集が行われました。英語は勿論、ISO/TC 324の参加国の言語、中国語、日本語、韓国語、フランス語、イタリア語などに翻訳される予定です。

ISO/TC 324決議事項
 最終日には持丸議長の進行の下、各グループのコンビーナから5日間の会議の統括がなされ、ISO/TC 324出席者全員一致で以下12の決議事項を採択しました。今回は新たに、ISO/TC 324の戦略的事項等を検討するためのChairperson advisory group(議長諮問グループ)の創設が決定しました。なお、次回総会は2021年12月に開催される予定です。昨年の6月からオンラインで会議を開催しており、参加者もオンラインでの議論に慣れてきたところではありますが、多くのメンバーから対面会議の再開を望む声がありました。

決議49:決議起草委員会の任命
決議50:アジェンダの採択
決議51:セクレタリレポートの確認
決議52:ISO/DIS 42500のタイトルの変更
決議53:ISO/DIS 42500の次のステップ
決議54:WG3コンビーナの任命
決議55:WG3セクレタリの任命
決議56:ISO/TC324ウェブサイトの複数言語への翻訳のためのメンバー募集
決議57:CAGの設置
決議58:次回ISO/TC 324総会

※参考訳になります。

会議出席者から
国立研究開発法人産業技術総合研究所 持丸正明氏(ISO/TC 324国際議長)
具体的なプロジェクトが進捗してきたこともあり、WGでのコメント対応などにより多くの時間が割かれるようになってきました。今回は、WG2・WG3の議論が時間内では終了せず、さらなるサブグループミーティングでフォローしていくこととなりました。そのほかにTGの活動も活発になってきています。まだ、TC全体でのエキスパート総数がさほど多くはないことから、ほとんどのエキスパートがすべてのWGやTGの会議に参加しています。これは、WG間の連携という観点では喜ぶべきことで、TCの全体会議での情報共有が手短に終了できるほどです。一方で、社会の要請にこたえて、より多くの標準をいち早く整備していくためには、より多くのエキスパートがTC活動に参加し、それぞれのWGに分かれて頻繁に議論していく体制も目指していかなくてはなりません。基盤となる理念やガイドラインの標準が確立してきたときが、TC活動を拡大していくタイミングなのだと考えています。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 渡辺健太郎氏(ISO/TC 324/WG 2コンビーナ)
シェアリングエコノミーのプラットフォーム運営に関する一般要求事項の検討が本格化し、参加国やリエゾン組織から多くのコメントをいただきました。これから年末に向けてかなり密な議論を重ねていくことになりそうです。各国の要望や状況等を踏まえた建設的な議論を通じて、利用者やシェアリングエコノミー事業者、社会全般にとって有益な文書を作れるよう、尽力していきたいと思います。

一般社団法人シェリングエコノミー協会 小出富雄氏(ISO/TC 324/WG 2, WG 3エキスパート)
デジタルプラットフォームの一般要求事項、及び、提供者の検証のガイドラインの2つの規格の議論が熱を帯びてまいりました。参加国それぞれにシェアリングエコノミー観があり、あるべきルールを形成することは容易ではありません。もっとも、インターネットを基盤とするシェアリングエコノミーは国境を越えた取引をより活発にするものであり、国際規格の重要性を改めて実感しました。これらの規格がシェアリングエコノミーに関わる多くの人にとって有益なものとなるよう、引き続き関わっていきたいと思います。

一般財団日本規格協会 遠藤・高井
TC設置直後からスタートしたISO 42500(一般原則)の議論がFDISに到達することが決定するとともに、この原則の下位規格にあたるISO/TS 42501、ISO/TS 42502の議論が本格化しました。各国、事情や認識の違いはあるもののメンバーは皆、サポーティブで議論は順調に進捗しています。この他、シェアリングエコノミーの新たな国際標準の可能性を検討するためのロードマップ策定のプロジェクトが幹事国グループ主導でスタートしました。ISO/TC 324の参加国、37か国に参加を促し、議論を盛り上げていきたいと思います。