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標準化インテリジェンス-規格動向と予言の共通性(前編)

2023/06/01

JIS Z 8002(標準化及び関連活動―一般的な用語)によると、標準化は「実在の問題又は起こる可能性がある問題に関して、与えられた状況において最適な秩序を得ることを目的として、共通に、かつ、繰り返して使用するための記述事項を確立する活動。」と定義されています。
つまり、顕在化している問題のみならず将来起きるかもしれない問題についてもカバーできるのが標準化であり、これを文字に起こしたものが「規格」になります。
標準に関する活動をウォッチすることは、将来の予測を立てることにも役立ちそうです。果たしてここに、世にいう「予言」との共通点はあるのでしょうか?

そこで、今回はオカルト研究家でTOCANA総裁の角由紀子氏に、「規格と予言の共通性」と題し、両者にある共通点などをキーにお話を伺いました。

JSA(以下、J):
本日は、標準化や規格に関する情報(標準化インテリジェンス)と予言的な世界との「共通点」をめぐるお話が出来ればと思います。
規格には様々な機能があり、その一つに「過去の技術のメモリーになる」というものがあります。これについては、これまで様々なご専門の方とお話してきたところですが、一方で「標準化」は、その用語の定義にもあるとおり、「将来に起きる問題」に関しても適用できるものでもあります。そこで今回は規格が扱うであろう「未来」の側面について、予言的観点から学べるところがあるのではないかと思い、お話をセットさせていただきました。
角氏(以下、角):
とても興味深いテーマですね。よろしくお願いいたします。ところで最初に質問なのですが、規格から将来予測ができることなどあるんでしょうか?
J:
はい。一例をお話しますと、「ロシアのウクライナ侵攻は規格開発の動向から分かったのではないか?」というものがあります。
実はロシアはウクライナ侵攻の前に「GOSTR42.7.01-2021 市民防衛-戦時および平時における死体の緊急埋葬-一般要件」という国家規格を開発していることを発表しました。当時の(ロシア)メディアは、「コロナウイルスに対応したものである」と報じていましたが、この規格の効力が発生したのが、2022年2月1日で、ウクライナ侵攻は同年2月24日なのです。
もちろん、コロナ対応という側面もあったのだとは思いますが、規格は何もない所から生まれることはなく、何がしかの意図や意思の基に開発されます。今回のケースでは「戦争」がその意図だったのかもしれません。当会では、こうした規格周辺にある「意図」を読み解くことを「標準化インテリジェンス」と称し、ビジネスとして行っています。
角:
いわゆる調査での情報活用ですね。米国のPSI TECH Intelligence社※のようですね。

リスクマネジメントツールとしての予言活用

J:
いえいえ、我々は超能力などは使えませんが…。ところで、最近の予言業界、と呼ぶのが適切かは分かりませんが、にはどのようなトレンドがあるのでしょうか?
「2025年に何かがある」といった話は最近よく耳にしますが。
角:
そうですね。今YouTubeでも「予言コンテンツ」ってすごく人気なんですよ。コラボ動画のお話をいただく際も、「予言について話してください」とお願いされることがすごく多いんです。

2025年が危ないというのは、漫画家の「たつき諒」先生の作品(『私が見た未来』)が一つにありますが、総合的に見て、2025年が危ないと最初にYouTubeで言い出したのは私なんじゃないかなと思っています。
J:
そうだったのですね。それには何か理由があるのでしょうか?
角:
はい。たつき諒先生の漫画が話題になったときに、他にも2025年が危ないと言っている人がいたな、というところから、2025年に絞って情報を調べていったら、ブルガリアの予言者ババ・バンガ、日月神示※1、全米最強の予言者ジョセフ・ティテルなど複数の予言が2025を示しているとみられることが分かり、これは大変なことになるのでないかと考えたんです。
J:
なるほど。そこで気になるのは、予言の「ニーズ」なのですが、予言コンテンツが人気となる理由、背景にはどのようなものがあるとお考えでしょうか?
角:
予言を活用したい人の根底にある意識には主に二つがあると考えています。一つは、「リスクに備える」ということです。
2001年の9.11、2011年の3.11を経て、災害に対する意識がすごく高まっているじゃないですか。
J:
そうですね。つい最近も能登半島で大きな地震がありました。
角:
もう一つは「ベネフィットを得る」ということです。先読みをして、利益を得るということです。
J:
なるほど。それは我々が行う標準化インテリジェンス調査を依頼される組織様のニーズと似ているかもしれません。

予言を活用する業界とは

角:
そうかもしれないですね。特に最近は時代が変わるスピードがどんどん速くなっているので、予言を活用して、なんとか先取できないかと考える人が増えているようです。
例え話ですが、スマートフォンのアプリが無数に増え続ける中で、どこに焦点を絞ればいいのか、詳しくなればいいのかが、選択肢が広がりすぎ分からなくなってきていますよね。そのようなとき、自分が何を使えばよいかについて「的を絞る」ために予言が活用されているのです。
J:
なるほど。ちなみに特定の業界で予言の活用が行われているなど、傾向などはあるのでしょうか?
角:
予言業界かつ予言を扱いがちな業界として挙げられるのが、実は「仮想通貨」なんです。
日本だけでなく、世界的にみても仮想通貨をやっている人は、予言をチェックする傾向にあり、超能力で未来を予測する「サイキック投資」という一つのジャンルがあるほどです。そもそも、サイキック投資発祥の地である米国では、ディズニーやWeWork、Appleなど大手企業が超能力者を頼るケースも少なくないので、受け入れられやすい土壌があったのでしょう。ウォール街の由緒正しい『ニューヨーク証券アナリスト協会』にもサイキック投資家が招かれて講義をするほど、市民権を得ています。そんな中で今一番の盛り上がりを見せているのが仮想通貨なのです。
J:
それは何故なのでしょうか?
角:
やっぱり先が読みづらいからですね。株以上に安定していませんし、世界情勢にも大きな影響を受けます。ここで一つご紹介したいのが、クリフ・ハイ氏という元Microsoftの方が作った「WEBBOT」というシステムです。これはSNSなどに書き込まれた不特定多数の「発言」を「スパイダー」と呼ばれる言語収集用のソフトウェアを使って収集し、感情に関するキーワードをピックアップしてアルゴリズムで測定処理を行って未来の出来事を予測するものです。初期の段階から、ビットコインが2018年に来ると言っていたこともあり、仮想通貨の分野で予言が使われるようになった経緯があります。
J:
BOTによって世の中の空気感(感情)を取って、予言というか予測をするわけですね。
角:
はい。そうなんですが、不思議なことに市場予測だけでなく、9.11や地震などの自然災害の発生なんかも当てているんですよ。
J:
標準化インテリジェンスも、ニュースなどの一般情報の収集が基本で、それらの断片的な情報をつなぎ合わせて洞察を出すので、クリフ・ハイ氏がどのようなプロセスで結果を出しているかには興味があります。
角:
やっていることといえばビッグデータの解析だと思うので、それで言えばGoogleが一番良くできるんじゃないかと思うんですけど、クリフ・ハイ氏は「過激な発言」だけを集め、「ある程度データを絞ったうえで読み解く」という方法を取っているところにポイントがあるのだと思います。

4.8秒先の未来

角:
さらに言えば、人間には「4.8秒先の未来が分かる」という話があります。
被験者にランダムにいろんな写真見せたとき、刺激的な写真を見せる4.8秒前から被験者の心臓の鼓動が早くなることが実験で分かっています。
J:
次に来る内容を予知していると。
角:
そうですね。ただ、人間の心の動きはもっと微細で、光以上に速いと言われていますし、その心が文字を書かせる訳じゃないですか。
だから過激な感情が書かれたSNSなどの発信には、予知された未来が乗っている可能性があるのではないかと思っています。個人的見解ではありますが。
J:
予言には、色んなパターンがあって、例えば神から預かる「預言」もあると思います。それらは詩的な文章で書かれたりすることもあり、往々にして「解読」がキーになるように思います。
この、「読み解く」という部分についてはいかがでしょうか?
角:
そうですね。その中で面白いのはアメリカの考古学者かつ未来予測学者のスティーブン・シュワルツ氏です。
彼はニクソン政権時に国家安全保障局で働いた経験や米海軍の軍事的な指導経験もあるんですが、彼の主な研究というのが、人間の潜在意識に眠っている予知能力というか、集合意識を使って、未来を予測かつリモートビューイング(遠隔視)するというものなんです。
J:
それこそ、PSI TECH Intelligence社のようですね。
角:
そうですね。彼はリモートビューイングで海底遺跡などを見つけたんですよ。アレキサンダー大王の墓を見つけるプロジェクトにも関わっていたり、クレオパトラ関連の遺物も発見していて。
他にも砂漠をリモートビューイングで見て、埋まっているものを見つけたりとか。そこは専門家が誰も着目していなかった場所なんですが、考古学的価値のある資料が見つかっています。
彼はリモートビューイングが活用できると確信している訳です。

2050年を想像する

角:
その彼がやっていたのが1978年から1996年までに実施した、「2050年を想像してください」というプロジェクトでした。
このプロジェクトが面白いのは、予言者や予知能力といった特殊能力がある人ではなく、ごく普通の一般人4000人以上にイメージをしてもらった点です。すると、不思議なことにイメージに共通点があるものが出てきたのです。
シュワルツ氏はそれこそが2050年までに起きる未来の出来事なんじゃないかと考えた訳です。
J:
最近、脳科学者である中野信子さんの『脳の闇』を読んだのですが、ギリシャ神話のアポロンを「大衆の集合体」と読み解いて、それに符合するように思いました。何より、アポロンは「予言」の神ですし。シュワルツ氏はなぜこのプロジェクトを実施したのでしょうか?
角:
当時は冷戦時代だったので、核戦争が起きるという予測もあり、彼はそれを調べたくて始めたんですね。でも、プロジェクトで出た内容を読み解くと、どうやら核戦争は起きないことが分かりました。その代わり、ソビエト崩壊に始まり、パンデミック、テロ、気候変動など、実験が始まったときは誰も予想していなかったけれど、現代で実際に起きている事象の数々が浮かび上がってきたのです。かなり高い精度だと思います。100%当たっているといっても過言ではないくらいの。

※1 神道研究家で画家の岡本天明が自動書記によって記述したとされる書物。
※2 PSI TECH Intelligence社:米国国防情報局が実施していた遠隔視実験に関与していたメンバーが立ち上げた、調査会社。米国政府などをクライアントに持つ。



角由紀子(すみ ゆきこ)

白夜書房、BABジャパンを経て株式会社サイゾーに入社。2013年にオカルトメディア「TOCANA」を立ち上げ、2022年に独立。フリーの編集・ライターとして活動中。レギュラーTV番組「超ムーの世界R」「すみっこオカルト研究所」「ケンドーコバヤシの絶対に観ない方がいいテレビ」など。ラジオ「角由紀子の明日滅亡するラジオ」。映画『三茶のポルターガイスト』企画・出演。編集本に『東大怪談』(サイゾー)『列島怪談』(宝島社)『日本一の幽霊物件』(幻冬舎)。自身のYouTube番組「角由紀子のヤバい帝国」も更新中!