
空飛ぶ色見本:弁柄色 - JIS Z 8102:2001 物体色の色名より⑥ -
2025/05/01
※本記事は全12回の連載となっております。
今号では鉱物由来の色名の中で、鉄が関係する顔料の色名について述べてみる。
地殻中に存在する鉱物の大部分は、結晶質の無機物で、鉄を含む化合物が多く存在し、人類は顔料の原料として精製して用いてきた。 顔料の弁柄の化学名は酸化第二鉄であり、精製すると弁柄となり、還元すると鉄となる。
色名はインド洋沿岸のベンガル地方から渡来したので、べんがら・弁柄となった。辨柄色・紅柄色・紅殻色という商品名も使われた。 構造近似の黄色酸化鉄・黒色酸化鉄顔料が仲間で、錆色、赤錆色、代赭、黄土色、鉄黒の色名も慣用色名である。鉄色と言う陶磁器用釉薬の色名もある。 外来語色名では、バーントシェンナ、ローシェンナ、イエローオーカー、バーントアンバー、ローアンバーなどがある。 鉄を含む顔料は、鮮やかな色を持ってはいないが、毒性が無く、光や熱にも堅牢なので、長くかつ広く使われて現在に至っている。
「弁柄色」のマンセル値は8R 5/7近辺。
JIS Z 8102:2001 物体色の色名
Names of non-luminous object colours
発行時期:2001年5月30日
原案作成団体:一般社団法人日本色彩学会、一般財団法人日本規格協会
執筆者
永田 泰弘
日本色彩学会名誉会員
「JIS Z 8102:2001 物体色の色名」
検討委員会の委員長として、原案作成に携わる。
永田 泰弘
日本色彩学会名誉会員
「JIS Z 8102:2001 物体色の色名」
検討委員会の委員長として、原案作成に携わる。