
ソフトウェアに着目したITサービスのエネルギー効率指標の算定方法が国際規格になりました 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて
2021/06/24
<経済産業省の記事から抜粋>
ソフトウェアがIT機器を無駄なく使うという観点から、エネルギー効率を的確に評価できる国際規格が発行されました。
この規格が活用されることで、国内外において省エネルギーに着目したソフトウェアの市場が活性化し、ITサービスのさらなる省エネルギー化が進み、脱炭素社会の実現に貢献することが期待されます。
1.背景
IoTによって身の回りの様々なものがネットワークに繋がり、AIや5Gなどの技術を活用したさまざまなITサービスが登場し、我々の生活が便利で豊かになっています。スマートシティの実現、再生可能エネルギー事業の発展、エネルギーマネジメントの拡大など省エネルギー化に向けた取組の中でもITサービスの活用が期待されます。また、企業においてはデジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれ、ITの活用によるビジネスの変革が進んでいます。一方で、このようなITサービスはクラウドで実現される傾向にあることから、データセンタの消費電力量は今後も増加することが予測されており(図1)、その省エネルギー化が課題となっています。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けてデータセンタの省エネルギー化のためには、IT機器自体のエネルギー効率の向上に加え、ソフトウェアがIT機器を効率よく使うことによるエネルギー効率の向上も求められてきています。例えば自動車ではドライバーで燃費が異なるように、ITサービスではソフトウェアがIT機器を効率よく制御することでエネルギー効率が異なります。
実際、ソフトウェアの処理にIT機器を効率よく使用するためのアクセス制御を加えることにより、性能を殆ど低下させることなく、消費電力量を大幅に削減できます。
そこで、省エネルギー化へ貢献するソフトウェアの効果を評価するために、IT機器とソフトウェアを組み合わせたアプリケーションプラットフォームとしてのエネルギー効率指標を提案し、国際規格として開発が進められました。その結果、今般、「ISO/IEC 23544:2021 Information Technology – Data Centres – Application Platform Energy Effectiveness (APEE)」として承認され、国際標準規格が2021年に発行されました。これは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の成果です。
2.規格の概要
本規格では、ITサービスが提供する価値と、その提供のために使用した電力量から、エネルギー効率を算出します。具体的には、構築したアプリケーションプラットフォーム上でベンチマークとなるプログラムを実行し、得られたITサービスの価値をIT機器の消費電力量で割って、エネルギー効率とします。この算出方法に加えて、結果の信頼性を確保するために、電力の測定方法や測定結果の報告方法も規定しています。また本規格は特定のITサービスや分野の測定に縛られているものではなく、将来出てくるサービスにも対応可能です。
関連資料の閲覧および本記事の詳細は経済産業省のページをご覧ください。
<出典:経済産業省のウェブサイトを加工して作成>
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210621005/20210621005.html