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第三者適合性評価機関の公平性~欧州MDR/IVDR

第三者適合性評価機関の公平性~欧州MDR/IVDR

2026/08/31

第三者の適合性評価を行う機関の公平性(impartiality)をどのように担保するか。これは長く議論の的となってきた事項であり、適合性評価機関に対する要求事項を規定するISO/IEC 17000シリーズの改訂の度に、議論の俎上に載ると言っても過言ではない。

欧州委員会が2025年12月16日、医療機器/体外診断用医療機器規則(MDR/IVDR)(※1)の改訂案を公表した。これに対しTIC Council(※2)が懸念を表明している。この改訂は規則を簡素化し、医療機器の認証の遅延を緩和することを目的としており、TIC Councilは改訂を歓迎するとしつつ、1点、強い懸念を示している。

改訂案では、指定機関(Notified Body)(※3)の独立性/公平性を担保するため、指定機関が属する「親組織/グループ(larger organization)」全体とその傘下の別法人に対し、「認証の対象となる製品の設計・製造・販売・保守、それらに関するコンサルティング業務等」を行ってはならないという規定を盛り込むことが提案されている。

現行の規則では、グループ内の別組織でこのような活動が行われていても、組織内で適切なガバナンス体制がとられ、ファイアウォールが機能していれば許容される。この改定案が実効となった場合、いくつかの通知機関が排除されることになり、改訂のそもそもの目的である認証の遅延の緩和に逆行し、医療機器の市場投入遅延やコスト高騰につながるとTIC Councilは懸念している。

TIC Councilは、利害抵触を防ぐための厳格なルールをもつことは支持するとしつつ、改訂案のような一律の除外ではなく、実際のリスクや実証可能な管理策を重視すべきとし、ISO/IEC 17021-1(※4)やISO/IEC 17065(※5)などに示される国際的に確立された適合性評価の原則、すなわち公平性のリスクの特定・評価・低減に焦点を当てたアプローチに、より整合させるべきと提言している。

ちなみに、国内の類似の規制、薬機法(医薬品医療機器等法)では、欧州の現行規則と同様に親会社やグループ会社との関係を規定しており、一律に排除するものではない。

本規則は、現在、EUの立法手続きに基づき審議が行われている段階で、審議が円滑に進んだ場合、2026年後半から2027年前半頃の採択となる見込みである。TIC Councilの押し戻しが功を奏するか注目されるところである。

TIC Councilの提言文書:
TIC Councilの提言文書(LinkedInで開く)

※1 医療機器/体外診断用医療機器規則:the Medical Devices/In-Vitro Diagnostics Regulation (MDR/IVDR)

※2 TIC Council:独立した試験(Testing)、検査(Inspection)、認証(Certification)組織で構成する国際的な非営利団体。世界160カ国以上で活動する100を超える企業や団体が参加し、政策立案者や国際機関に対して業界の意見を発信

※3 指定機関(Notified Body):EU加盟国により指定され、欧州委員会に通知された第三者適合性評価機関。特定のEU指令や規則に基づく適合性評価業務を実施

※4 ISO/IEC 17021-1:適合性評価―マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項―第1部:要求事項

※5 ISO/IEC 17065:適合性評価―製品、プロセス及びサービスの認証を行う機関に対する要求事項

[日本規格協会]