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ISO 45004 労働安全衛生マネジメント-パフォーマンス評価の指針

2024/03/28

2024年3月14日に労働安全衛生パフォーマンス評価を通じて組織の継続的改善を支援する新しいISO規格が発行された。

ISO 45004:2024

労働安全衛生マネジメント -パフォーマンス評価の指針
Occupational health and safety management -- Guidelines on performance evaluation

労働安全衛生パフォーマンスを効果的にモニタリング、測定、分析、評価する方法の手引に関する規格である。
この規格は、組織が安全衛生マネジメントシステムに取り組んでいる・いないを問わず、あらゆる規模と成熟度の組織に対して、負傷やインシデントコストなどの結果指標のみを使用するのではなく、労働安全衛生パフォーマンスの先行指標に焦点を当てることを奨励している。結果指標は、それ自体では負傷やインシデントを防止することができない遡及的な測定形態である。

ISO 45004はマネジメントシステム規格なのか?

ISO45004は、マネジメントシステム規格のPDCAの枠組みをベースとしている。そして、 ISO 45001の要求事項に沿ったパフォーマンス評価のアプローチを提供することにより、ISO 45001を補完するものである。

一方で、組織がマネジメントシステムを導入することを要求するものではない。ISO 45004は、組織の労働安全衛生パフォーマンスを評価し改善するために利用可能な多様な選択肢を検討するための独立した文書として使用することができる。

この規格のターゲットは?

この規格は、規模、機能、分野、地理的位置に関係なく、すべての組織にとって有用である。組織はそれぞれ個性があり、労働安全衛生パフォーマンスの意図する結果も様々である。

しかし、組織が望ましい結果に到達するのに役立つパフォーマンス評価プロセスと指標の標準セットがある。マネジメントシステムが存在しない場合でも、この規格は、効果的なパフォーマンス評価を用いて労働安全衛生パフォーマンスの継続的改善を推進する方法に関する手引を提供する。

この規格はどのような内容か?

労働安全衛生パフォーマンスを向上させる上での課題の一つは、何に焦点を当て、どのようにその有効性を測定するかを知ることである。ISO 45004は、以下について示されている。

  • 組織の構造と安全衛生マネジメントシステムの成熟度の両方に関連して、組織のあらゆるレベルに適したパフォーマンス評価プロセスと指標の選択及び使用に関する手引を示している。
  • データを得るためのモニタリング・測定方法、パフォーマンス評価を支援するためのデータ分析方法が含まれている。労働安全衛生パフォーマンスが効果的であれば、人命救助につながる。
  • 指標を選択する際に起こりうる意図しない結果や限界について説明されている。
  • 組織がしばしば直面する課題の一つは、将来の業績を予測する指標の特定である。網羅的な目録ではないとはいえ、この規格は、組織が請け負う業務の種類や性質に適合した指標を選択するための情報源やツールを提供している。
  • 労働安全衛生パフォーマンスのモニタリング、測定、分析、評価に関わる活動のいくつかを、その結果に基づく行動に重点を置いて、事例を用いて明確にしている。
  • なぜビジネスプロセスへの統合及びコミュニケーションがプロセスの不可欠な要素なのかを説明している。

パフォーマンス指標の主な特徴

労働安全衛生パフォーマンス指標は、組織内の変化に対応できるものでなければならない。また、指標は、中小企業であれ多国籍企業であれ、その組織が活動する状況に適した意味のあるものでなければならない。

この規格では、組織が様々なレベルや機能で指標を活用できるように、指標の主要な特徴を記述しているが、一方で、指標には寿命があり、長期間適切であるとは限らないことを強調している。組織が成長、変化、進化するにつれて、業務を引き受け、遂行するための要求事項も変化する。このため、パフォーマンスを評価し、継続的改善を推進するために選択した指標は、定期的に再評価し、業務活動との関連性を維持する必要がある。また、組織は、労働安全衛生パフォーマンスの評価を成熟度に合わせて調整する必要がある。

パフォーマンス指標の種類

すべての指標が同じであるとは限らない。指標は、過去のパフォーマ ンスに関する情報を提供することもあれば、将来の可能性に関する情報を提供することもある。歴史的に、組織は、インシデントや負傷の発生率など、過去のパフォーマンス指標や結果指標に大きく依存してきた。しかし、この種の指標は、組織の将来の労働安全衛生パフォーマンスを予測するのに役立つものではなく、また、負傷率やインシデント発生率を積極的に削減するものでもない。将来の良好なパフォーマンスを確信するには、意図した結果の達成に貢献できる先行指標を特定し使用することが重要であり、これらは通常、インプットとプロセスに重点を置いている。指標には、数えたり測定したりするものと、観察したり議論したりするものなど、定量的なものと定性的なものがある。

指標の実際的な選択とバランスは、先取りしたプロセスへの焦点を促進し、労働安全衛生パフォーマンスの改善を促進するのに役立つ。これは、パフォーマンスの盲点を回避し、過少報告や組織の全体戦略との不整合による意図しない結果を回避するのに役立つ。

何が成功を妨げるのか?

労働安全衛生パフォーマンスの評価に影響を及ぼし、結果に影響を与える要因は数多くある。この規格では、データの信頼性や解釈だけでなく、使用される方法などの課題を特定している。データを誰にどのように伝達するか、また、組織がその結果に基づいて行動するかどうかが、成功に広く影響を及ぼす可能性がある。この規格は、事例、ケーススタディ、表を通して、これらの課題を明確にし、どのように回避し、克服するかをユーザーに提供している。

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