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シェアリングエコノミー国際標準化のための国際会議が4年ぶりに東京で開催

シェアリングエコノミー国際標準化のための国際会議が4年ぶりに東京で開催

2023/12/18

ISO/TC 324の第10回総会が12月7日、東京(TKPガーデンシティPREMIUM田町)で行われた。 東京でのISO/TC 324総会の開催は、4年ぶりの開催となり、アイルランド、イタリア、カナダ、中国、マレーシア、ANEC※1、MIA※2から約40名の専門家が対面又はオンラインで参加した。

※1 European Association for the Co-ordination of Consumer Representation in Standardization
※2 Marketplace Industry Association, Inc.

総会前に開催された作業グループ(WG)の会議において、各国のエキスパートは、シェアリングエコノミーの産業の発展に資する様々な国際プロジェクトについて議論。“パブリックセクターにおけるシェアリングエコノミーの活用事例”や“サービス提供者の検証などのプロジェクト”が進捗し、シェアリングエコノミー市場に関連する「計測」と「シェアード・マニュファクチャリング」に関する標準案など、今後議論する新しいテーマも提起された。次回の会議は、2024年6月にマレーシアで開催される予定だ。

また総会では、2022年に発行されたISO/TS 42501(シェアリングエコノミー-デジタルプラットフォームの信頼性と安全性の一般要求事項)のプロジェクトリーダを務めた渡辺健太郎氏と ISO/TS 42502 (シェアリングエコノミー-デジタルプラットフォームでのプロバイダー検証のガイダンス)のプロジェ クトリーダーを務めた姚歩氏の功績を称え、両氏に ISO Excellence Award が授与された。ISO/TS 42501は、シェアリングエコノミープラットフォームが安全な運用を行うために実施すべきことを規定しているほか、ISO/TS 42502は、プラットフォームがサービスを提供する個人又は法人を確実に検証する際の推奨事項を規定している。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 渡辺健太郎氏 (ISO/TC 324/WG 2コンビーナ)
「身に余る賞をいただき、大変光栄に思います。受賞理由となった国際規格開発は日本のモデルガイドラインが元となったものであり、シェアリングエコノミー認証制度を始め、日本の先進的な取り組みに対する国際的な評価あってのことと思います。本規格開発にあたっての関係各位のお力添えに改めて御礼申し上げますと共に、シェアリングエコノミーの更なる発展に今後も微力ながら貢献できるよう努めて参りたいと思います。」

姚歩氏(ISO/TC 324/WG 3コンビーナ)
「ISOからの評価と激励に心から感謝します。この栄誉を励みに、今後もシェアリングエコノミーの標準化と持続可能な発展を推進していきたいと思います。ISO/TC 324チームの支援に感謝し、これからも共に業界の成長にさらなる価値を提供していきたいと思います。」

全体会議の後は、「シェアリングエコノミーの機会と課題」について意見交換するワークショップが開催。各国のシェアリングエコノミーの動向、自治体の取り組み、サーキュラーエコノミーとの繋がり、EU規制の影響など様々なトピックについて講演が行われ、現在のシェアリングエコノミーを取り巻く環境を認識し、国際標準が果たすべき役割について議論を行った。

ワークショップにおける講演者及び講演テーマは、以下のとおり。

  • 河野譲二(堺市政策企画部 主幹)「堺市が推進するシェアリングエコノミーの取り組み」
  • 天沼聡(airCloset CEO)「airClosetの事例」
  • カトリーヌ・シュヴォーシュ(ISO/TC 323 循環型経済 議長)「共有経済と循環経済の潜在的なリンク」
  • オルソリヤ・トカジ=ナギ(EU法プロフェッショナル・アドバイザー)「シェアリングエコノミーと短期宿泊規制の観点からEUが直面する規制上の課題」
  • パルル・グプタ(インド規格協会)「インドの視点 パートナーのための苦情処理の開発」
  • レッズアン・アブドゥル・ラヒム(マレーシアデジタルエコノミー公社)「マレーシアにおけるシェアリングエコノミー開発政策とプログラム、問題と課題」
  • エリザベス・ドゥエット(アイルランド標準機構 アイルランドテクニカルエキスパート)「デジタルサービス法:概要とシェアリングエコノミープラットフォームへの影響」
  • モニカ・イビド(ISO中央事務局)「ISOの標準化、原則、ステークホルダエンゲージメント」

国立研究開発法人産業技術総合研究所 持丸正明氏(ISO/TC 324国際議長)
久しぶりの対面開催でした。ハイブリッド形式の会議であったため、はたして、わざわざ日本に来て対面での議論に参加していただけるエキスパートがどれほどいるか心配していましたが、実際には中国、マレーシア、欧州の外部リエゾンから数多くのエキスパートに参加いただき、対面ならではの議論や意見交換が実現できました。各WGの進捗は順調で、加えて、新たな課題提案に向けて循環型経済の視点を入れたシェアリングエコノミーの枠組みや評価などについても議論がなされました。今後も年1回程度は対面会議を取り入れていきたいと思います。

注記 一般財団法人日本規格協会は、ISO/TC 324(シェアリングエコノミー)の国内審議団体であり、国内委員会事務局として運営しています。



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