AIシステムの独立した検証~米カリフォルニア州
2026/10/08
米カリフォルニア州で、AIシステムの安全性を評価するための独立した検証を行う体制が整備される見込みである。先月、カリフォルニア州知事が上院法案(SB)813(※1)及び下院法案(AB)1405(※2)に署名し、今後、独立した検証機関として指定されるための要件の公表、指定を行うための体制の整備、AI監査を行う個人や事業者に関する基準の規定、登録の義務化などが行われる。これにより、AI企業の自己評価にのみ依存するのではなく、第三者による評価を通じ、リスクや事業者の主張を検証することができる仕組みが整うことになる。
「独立した検証機関」や「AI監査人」に求められる要件は具体的にどのようなものになるのだろうか。
ISO(国際標準化機構)はISO/IEC 17029(※3)やISO 14065(※4)等を発行し、事業者の主張を検証する機関や関連する要員の要件を提供している。AI分野では、既にISO/IEC 42001(※5)を発行しており、続いてISO/IEC 42007(※6)等の開発も進められている。また、ISO/IEC 17011(※8)をはじめとするISO規格が、Global ACI(※7)が提供する認定スキームで採用され、適合性評価の国際相互承認の枠組みを提供している。今後、カリフォルニア当局が関連の要件や体制を整備する際、ISO/IEC 17029等や既存の枠組みがベースにされる可能性もある。
カリフォルニア州知事は、現時点ではカリフォルニアが先進しているが、技術の進歩の速さと影響の大きさを考えると、州単位ではなく米連邦としての全国規制が必要と述べている。州単位で規制や制度が整備されると事業者は地域ごとに異なる基準に対応する必要も出てくる。
技術の進歩に遅れることなく迅速に、実効性の高い仕組みを構築し、グローバルに展開できるかが、今後のAI規制の肝となると思われるが、そんな中でISOの規格が「使える」と見なされ、それに呼応すべく進化していくことを期待したい。
※1
上院法案(SB)813:AIシステムやAIモデルの安全性、リスク、州法への適合を評価する「独立した検証機関(Independent Verification Organizations: IVO)」を指定基準や管理するための仕組みを規定
※2
下院法案(AB)1405:州法に基づくAI監査を行う「AI監査人(AI Auditors)」の登録制度、監査人の独立性、透明性等の基準、情報開示ルールを規定
※3
ISO/IEC 17029:適合性評価-妥当性確認機関及び検証機関の一般原則及び要求事項(ISO/IEC 17029:2019 商品ページ)
※4
ISO 14065:環境情報を妥当性確認及び検証する機関の一般原則及び要求事項(ISO 14065:2020 商品ページ)
※5
ISO/IEC 42001:情報技術-人工知能-マネジメントシステム(ISO/IEC 42001:2023 商品ページ)
※6
ISO/IEC DIS 42007:Information technology — Artificial intelligence — High-level framework and guidance for the development of conformity assessment schemes for AI systems
※7
Global ACI (Global Accreditation cooperation Inc):試験所・校正機関、認証機関、検査機関などの適合性評価機関の認定を認定機関、地域協力機関、利害関係者団体から構成される国際組織
※8
ISO/IEC 17011:適合性評価-適合性評価機関の認定を行う認定機関に対する一般要求事項(ISO/IEC 17011:2017 商品ページ)
※商品ページ(リンク先)でご案内している規格は、現時点(2026年10月)で最新のものです。
[日本規格協会]


