
2025年9月発行の注目JISをご紹介いたします(JIS B8803,JIS C6020,JIS R6211-8・6211-9)
2025/09/26
一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)が2025年に発行した注目のJISを、各規格の発行に至った背景とともにご紹介いたします。
JIS B 8803:2025
【改正】
ベルトコンベヤ用ローラ
Rollers for belt conveyor
■JIS B 8803はなぜ改正されたのか?
この規格は、主としてばら物(鉱石、土砂、石炭、セメント、穀類など)を運搬するために用いる、定置形ゴムベルトコンベヤのキャリヤ側及びリターン側に使用するローラ及びローラ台について規定したもので、ISO 1537:1975を基にした規格です。前回の改正時(2008年)に既存のJ形のベルト幅の規定をI形に合わせ、ベルト幅の統一を図り、我が国独自の450mm、600mm、750mm、900mm及び1050mmのベルト幅を規格から外したが、以降もそのベルト幅のベルトコンベヤが多く稼働しており、それらに用いられているローラ及びローラ台の交換需要があり、製造・販売が継続されている実態があります。このような現状から、長期間使用されるコンベヤの実態を考慮し、わが国独自のベルト幅に対応するローラ及びローラ台の寸法の規定を再度追加する必要が生じています。また、近年、材料開発と共に流通が増加しているローラ材料を追加し、市場の実態に即した内容とするため、JISを改正する必要がありました。
■JIS B 8803の改正に期待されること
潜在的に需要があり、今なお稼働するJ形のベルト幅に対応するローラ及びローラ台の寸法の規定を追加することにより、市場での利便性や互換性が保たれ相互理解の促進に寄与できます。また、寸法を規定することにより製品の品質や性能が一定レベルで保たれるようになり、安定品質の明確化、生産性等の向上、産業の合理化に寄与できます。また、寸法を標準化することで、メーカにおける競争力を促進することも期待できます。 さらに、J形に使用するシャフト材にみがき棒鋼用一般鋼材を追加することで、安定した製品の流通の促進が期待できます。
JIS C 6020:2025
【改正】
インターホン通則及び試験方法
General rules and testing methods for intercom
■JIS C 6020はなぜ改正されたのか?
この規格は、住宅用,業務用などに使用するインターホンに関する方式、形状・寸法、形名などの一般通則及び特性試験方法について規定したものであるが、前回の改正後、長期間改正が行われておらず、この間、周波数特性、ひずみ率、SN比、出力音圧レベルなどの試験方法について、技術の進歩がみられ、実態との乖離が生じています。このため、実態に即した内容に改正する必要がありました。
■JIS C 6020の改正に期待されること
改正によって、技術の進歩に対応した試験方法が標準化されることから、インターホンの生産能率の増進、品質改善、取引の円滑化などに資することが期待できる。
JIS R 6211-8:2025
【改正】
といし-寸法-第8部:定置式研削盤におけるばり取り及びきず取り用研削といし
Bonded abrasive products-Dimensions-Part 8: Grinding wheels for deburring and fettling/snagging on stationary machine
■JIS R 6211-8はなぜ改正されたのか?
この規格は、主に定置式研削盤におけるばり取り及びきず取り用研削といしの最も一般的な呼び寸法について規定したものであり、2014年にISO 603-8:1999を基に改正されました。しかし、近年、グラインダなど工作機械の技術の進歩に対応して、新たな寸法が市場に出回っており、その標準化が強く望まれています。さらに、ISO 603-8は、昨今の市場の実態及び技術の進歩に対応するために2024年にEd.2として改訂され、研削といしを“定置式研削盤”に装着して用いるものと限定するなど、内容が改訂されました。このような状況から、対応国際規格との乖離を解消するとともに市場の実態に即した内容にするため、JISを改正する必要がありました。
■JIS R 6211-8の改正に期待されること
この改正によって、市場の実態及び技術進歩に対応し、対応国際規格と整合した内容になるため、市場の混乱が防止できるだけなく、正しい理解が定着することによって、品質の相互理解の促進、取引円滑化が図られ、ひいては規格に適合した製品の使用によって、使用者の安全性が高まり、労働安全の促進に寄与することが期待できます。
JIS R 6211-9:2025
【改正】
といし-寸法-第9部:超重研削用研削といし
Bonded abrasive products-Dimensions-Part 9: Grinding wheels for high-pressure grinding
■JIS R 6211-9はなぜ改正されたのか?
この規格は、超重研削砥石用研削といしの最も一般的な呼び寸法について規定したものであり、2014年にISO 603-9:1999を基に改正されました。しかし、その後の市場の変化に伴い、寸法の種類の見直しが求められています。また、対応国際規格であるISO603-9は、昨今の市場の実態及び技術の進歩に対応するため、2024年にEd.2として改訂され、厚さなどの種類が追加されました。このような状況から、対応国際規格との乖離を解消するとともに市場の実態に即した内容にするため、JISを改正する必要がありました。
■JIS R 6211-9の改正に期待されること
この改正によって、市場の実態及び対応国際規格との整合が図られ、市場の混乱が防止できるとともに、正しい理解が定着することにより、相互理解の促進及び製品取引の円滑化に寄与することが期待できます。また、規格に適合した製品の使用によって、使用者の安全性が高まり、労働安全の促進に寄与することが期待できます。
[日本規格協会]