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【注目JIS】環境試験に関するJISを発行しました(JIS C 60068-2-14 , 60068-2-17 , C60068-3-4)

【注目JIS】環境試験に関するJISを発行しました(JIS C 60068-2-14 , 60068-2-17 , C60068-3-4)

2025/08/26

一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)は、2025年8月20日に環境試験方法に関するJISを発行いたしました。各規格の改正に至った背景や、改正に伴い期待されることをご紹介します。

JIS C 60068-2-14:2025

環境試験方法-電気・電子-第2-14部:温度変化試験方法(試験記号:N)
Environmental testing-Part 2-14: Tests-Test N: Change of temperature

■JIS C 60068-2-14はなぜ改正されたのか?

 この規格は、部品、機器又はその他の製品が周囲温度の急激な変化に耐える能力を試験する方法について規定するもので、2009年に改訂されたIEC 60068-2-14を基に2011年に制定されました。その後、対応する国際規格は、技術の進展を反映して、試験パラメータ 、試験装置の詳細、試験の厳しさ、試験の後処理の追加などの修正が実態に即した内容として2023年に改訂されました。
 この改訂を踏まえ、国際規格との整合、近年の技術の実態に即した試験規格とするために、この規格を改正する必要がありました。

■JIS C 60068-2-14の改正に期待されること

 この改正によって、試験条件の精度が向上して品質の改善又は明確化に寄与し、その結果、生産性等の向上又は産業の合理化が期待できます。さらに、この改正によって、国際規格と整合した条件を試験に適用できるようになり、国際貿易の円滑化又は国際協力の促進に寄与する効果も期待できます。

主な改正点は次のとおりです。

1) 記号の箇条を新たに設け、試験パラメータの量記号を規定する。
2) 一般事項において、近年の技術進歩に合わせ、試験のパラメータ、各試験温度に対する曝露時間の選択、移し換え時間の選択及び温度変化試験の適用限界の規定を現状の技術に対応した内容に改める。
3) 試験Na(温度急変試験)において、明確化のため、試験槽について図を追加して具体的に詳細を規定し、試験の厳しさを上げる場合の規定を追加し、前処理及び試験サイクルを実態に即した内容に改め、後処理の規定を追加する。
4) 試験Nb(定速温度変化試験)において、明確化のため、許容差の規定を新たに追加し、前処理、試験サイクル及び後処理の規定を実態に即した内容に改める。
5) 試験Nc(二液槽温度急変試験)において、明確化のため、試験準備、試験サイクル及び後処理を実態に即した内容に改める。
6) 試験報告書に記載する事項において、現行規格の、試験Na、試験Nb及び試験Ncそれぞれの「製品規格に規定する事項」の規定を統合して、試験報告書に記載する事項に一元化する。

JIS C 60068-2-17:2025

環境試験方法-電気・電子-第2-17部:封止(気密性)試験方法(試験記号:Q)
Environmental testing-Part 2-17: Tests-Test Q: Sealing

■JIS C 60068-2-17はなぜ改正されたのか?

 この試験は、試験片の密閉の有効性を判断するために、容器の封止(気密性)におけるグロスリーク及びファインリークの外部および内部の検出に適用され、容器の封止(気密性)の試験方法について規定したもので、1994年に発行されたIEC 60068-2-17を基に2001年に制定されました。その後、対応する国際規格は、技術の進展を反映して、適用範囲にエンクロージャ、カバー、シールが部品及び機器を正常に動作させる能力を確認するための追加のテストには、IEC 60068-2-18が役立つとの規定の追加、圧力変化封止試験中の槽内の圧力と時間の図を実情に合わせて変更し、試験報告書に記載する事項を適正な内容に改めるなどの変更が実施され、2023年に改訂されました。
 したがって、JISにおいても試験結果の精度向上及びこれらの国際規格の規定の反映のために改正が必要でした。

■JIS C 60068-2-17の改正に期待されること

 改正によって、封止(気密性)試験結果の信頼度を上げ、電子機器、電子部品などの性能及び品質の向上・改善、国際取引の円滑化などに寄与することが期待できます。

主な改正点は次のとおりです。

1) 適用範囲において、エンクロージャ、カバー、シールが部品及び機器を正常に動作させる能力を確認するための追加のテストには、IEC 60068-2-18が役立つとの規定を追加する。
2) 試験Qy:圧力変化による封止試験において、圧力変化封止試験中の槽内の圧力と時間の説明の図を、圧力上昇カーブを時定数τの指数関数と仮定し、試験時間⊿tは0.2τよりも長くないことが望ましいとの表現に合うように変更する。
3) 試験報告書に記載する事項について、a) 顧客(名前と住所)、b) 試験機関(名称、住所、および認定の詳細(ある場合))、c) テスト日 (テストが実行された日付)、d) テストの種類 (Qa ? Qy、テスト方法)、e) 試験規格、版 (IEC 60068-2-17、使用される版)、f) 試験片の説明(図面、写真、数量の製造状況)などを必須事項として追加する。

JIS C 60068-3-4:2025

環境試験方法-電気・電子-第3-4部:支援文書及び指針-高温高湿試験
Environmental testing-Part 3-4: Supporting documentation and guidance-Damp heat tests

■JIS C 60068-3-4はなぜ改正されたのか?

 この規格は、製品規格、例えば、部品又は装置の規格を作成する際に、当該製品の適用範囲に対する適切な試験及び試験の厳しさを選択する際の指針について規定したもので、2001年に制定されたIEC 60068-3-4を基に2004年に制定されました。その後、対応する国際規格は、技術の進展を反映して、蒸留水及びイオン交換水によるすすぎを含む湿度試験槽の洗浄手順に関する推奨事項を新たに追加し、結露についての記載を改めるなどの修正が行われ、2023年に改訂されました。
 この改訂を踏まえ、国際規格との整合を図るとともに、技術の実態に即した試験規格とするために、この規格を改正する必要がありました。

■JIS C 60068-3-4の改正に期待されること

 この改正によって、試験条件の精度が向上して品質の改善又は明確化に寄与し、その結果、生産性等の向上又は産業の合理化が期待できます。さらに、この改正によって、国際規格と整合した条件を試験に適用できるようになり、国際貿易の円滑化又は国際協力の促進に寄与する効果も期待できます。

主な改正点は次のとおりです。

1) 加湿及び制御手順において、近年の技術進歩に合わせ、一般に規定している、加湿に使用する蒸留水及びイオン交換水の用途に新たに洗浄時のすすぎを追加し、湿度試験槽の洗浄手順に関する推奨事項を追加する。水の注入(噴霧)について、例として超音波加湿器及び噴霧器を記載する。
2)湿度の影響の物理現象において、試験の一般事項を新たに規定し、供試品に対する湿度の影響に関する追加事項を明記する。近年の技術進歩に合わせ、結露についての記載を全面的に改める。

[日本規格協会]