ISO/TC 164(Mechanical testing of metals;金属の機械試験)2024開催報告
2024/10/04
ISO/TC 164 ” Mechanical testing of metals” とは
自動車や鉄道、航空機、船舶などの輸送機器、ビルやマンション、住宅などの建築物、道路や橋梁などの構造物などさまざまなところに金属材料は使われています。これら金属材料はその材料がもつ強度や物性(例:硬さ等)に応じて、適切な種類の金属材料が設計時に選択され使われており、ISO/TC 164では、各種金属材料の強度及び物性を測定するための試験方法を国際的に統一し、国際規格として発行する取り組みを続けています。
近年の規格開発動向
近年、二酸化炭素を排出しない次世代エネルギーとして水素が注目され、インフラの整備も進められています。水素は例えば、燃料電池自動車向け水素ステーション用としては高圧状態にして貯蔵することが必要になっており、この耐久性を有した高強度の金属材料が求められます。ISO/TC 164ではこのような金属の強度・耐久性を評価する試験規格も開発しています(ISO 7039:2024)。今回の会議ではこの規格に関連した新しい試験規格の提案がドイツからあり、今後の国際会議で継続的に審議が行われる見込みです。
ISO/TC 164国際会議をつくば市で開催
9月16日~20日に約80名のエキスパートが世界12カ国から集まり、「つくば国際会議場」(茨城県つくば市)を会場に国際会議が開催されました。既存規格の更なる改善から、新しい金属材料や新たな測定技術に応じた新しい試験規格の提案など活発な議論が行われました。
また、今回は(国研)物質・材料研究機構の協力により、同機構の保有する試験設備を見学するテクニカルツアーが企画されました。金属材料の長期的な耐久性を評価するため、数十年以上金属材料の引張強度を測定している施設など特徴的な測定装置が内外エキスパートに紹介されました。
今後の国際会議の開催形式について
今回の会議は約半数以上がハイブリット会議として開催され、日本との時差のある欧米からもエキスパートの参加が見られました。また、ハイブリット会議ではこれまで参加のなかったメンバー国からも参加があり、ハイブリッド形式での開催が会議参加の機会を増やすことにつながっていることを実感しました。
ハイブリット会議は会議運営側としては通信設備の事前準備が必要であり、たいへんではありますが、今後の標準的な開催スタイルになっていくものと思われますので,今後もさらにハイブリット会議の経験を積み、関係者間でその経験を共有していくことがハイブリット会議運営のキーポイントになるのではないかと考えています。
ISO/TC 164対応国内委員会 事務局
基本規格チーム 吉田