S7サミット,ローマで開催
2024/05/09
イタリア規格協会(UNI)は2024年4月18日、G7加盟国の標準化機関、国際標準化機構(ISO)および欧州標準化委員会と欧州電気標準化委員会(CEN/CENELEC)の代表を招き、第一回目となる標準サミット「S7サミット」をローマで開催した。このサミットには、対面で約100名、オンラインで約300名が参加した。
第一セッションでは、ISO事務局長セルジオ・ムヒカ氏が進行役を務め、気候変動や差別等の社会的課題に対する標準の可能性やAIの機会とリスクについて,9名のパネリストが議論した。Woman AIの代表、フリンシー・クレメン氏(カナダ)は、生成AIによる性差別の可能性と標準を通じたAIの透明性確保の重要性について言及。米国立標準技術研究所(NIST)からは、米国政府が2023年に発表した重要新興技術の国家戦略(National Standards Strategy for Critical and Emerging Technology)の目標に基づき、標準化研究に投資していることなどの紹介があった。
第二セッションでは、CEN/CENELECの事務局長エレナ・サンティアゴ氏が進行を務め、各国の標準化機関から社会的課題への取り組み事例が共有された。フランス規格協会(AFNOR)は, AFNOR SPEC 2201:2022 (デジタルサービスのエコデザイン)を発行,デジタルサービスを提供するフランス国内企業に環境影響を適切に考慮することを可能にする。
英国規格協会(BSI)は,英国政府が2030年までに生物多様性の損失を止めるという目標に向け「自然保護投資基準プログラム(The Nature Investment Standards Programme)」を実施,英国内の組織向けにBSI Flex 701 Nature Markets - Overarching Principles and Frameworkを提供している。
主催者であるイタリア規格協会(UNI)からは、イタリア国内の男女機会均等のため、UNIは、UNI/PdR 125:2022(男女共同参画のマネジメントシステムに関するガイドライン)を発行している事例の紹介があった。UNIは,同標準を用いて,イタリア国内で認証を展開している。
2つのセッションでは,AIのリスク,気候変動,差別など社会課題に向け,標準を戦略的に利用すること,有意義な標準の開発と普及のために中小企業含め,多くの利害関係者を標準化活動に巻き込むことの重要性が提起された。
[ジュネーブ事務所]
https://www.uni.com/g7-standardization/