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ヘルスケア製品の無菌操作法 アイソレータシステムに関する国際標準が発行されました 最先端の医薬品へ最高の製造環境を提供

2021/06/18

<経済産業省の記事から抜粋>

国際標準化機構(ISO)において、日本から改訂提案された「ヘルスケア製品の無菌操作法-アイソレータシステム」に関する国際規格が発行されました。本国際規格は、無菌環境での医薬品製造に必要なアイソレータシステムについて、「無菌接続」の考え方を導入し、その上での基本原則や設計、バリデーション、運用方法などが記述されています。今後、本国際規格が医薬品製造設備の製造管理等に活用されることで、医薬品の製造環境が格段に向上し、安定的に高品質の医薬品が提供されることが期待されます。

1.背景
患者の体内へ注射する医薬品は雑菌の汚染がなく、無菌であることが求められます。特に、最先端の医薬品やワクチンは熱による滅菌(雑菌などを死滅させること)ができないため、雑菌が入り込まない無菌の製造環境で生産することが必要となります。

医薬品の製造現場では、無菌の環境を構築する設備としてアイソレータシステム(生産設備を密閉された空間で覆い、内部を雑菌が無い無菌の環境とする装置)が生産ラインで使用されてきました。しかし、これらの設備は大量生産向きで、最先端の再生医療用途などの個別医療の医薬品製造では、患者ごとに異なった医薬品製造が求められることもあり、それぞれの医薬品ごとに設備の切り替えが発生するなど運用には柔軟性を欠いていました。こうした状況の中、柔軟なアイソレータシステムの運用が可能となるよう、無菌の空間同士の接続が可能となる「無菌接続インターフェースを含んだアイソレータシステム」の国際規格改訂を日本から提案して進められました。

2.規格の概要
今回発行された国際規格ISO13408-6(ヘルスケア製品の無菌操作法-アイソレータシステム)では、無菌操作(主に滅菌できない製品を対象)によるヘルスケア製品(医薬品や医療機器)の製造においてアイソレータシステムを使用する場合に必要とされる要求事項を定めています。主な内容は以下の通りです。

  • アイソレータシステムの基本理念
  • 仕様
  • 設計
  • バリデーション(医薬品や医療機器を製造する工程方法が正しいかどうかを検証する一連の業務)
  • モニタリングと制御
  • 作業者のトレーニング

本国際規格は、経済産業省主導の医療機器等開発ガイドライン策定事業において開発された、「無菌接続インターフェース設計ガイドライン2012」をベースとしています。日本がプロジェクトリーダとして国際規格の改訂を主導し、2016年12月にISO/TC 198(ヘルスケア製品の滅菌)/WG 9(無菌操作)に提案しました。その後、約4年半にわたって、大学、研究機関、装置メーカー等が参画する国内審議委員会のメンバーを中心に継続的に議論・調整を重ねた結果、2021年4月13日に国際規格が発行されました。

本記事の詳細は経済産業省のページをご覧ください。

<出典:経済産業省のウェブサイトを加工して作成>
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210608006/20210608006.html