
空手道場に見る「総合的な品質」とは?
2019/05/10
個人の資質の向上に関して、特に精神力の醸成について効果があると考えるのは、武道です。特に、空手は、男女共に、子供も含めて、長期的に続けられる武道と考えています。
私は、30歳を過ぎて、体力の維持を目的に空手を始めましたが、不思議と10年以上続いています。
空手では、心身を共に鍛えることができ、その結果、自分自身に対して自信がつくと思います。普段、組織で働いている人にも、健康の維持に適していると思います。
私の個人的なおすすめの空手道場は、東京のJR大塚駅にある道場です。愛知や大阪などにも同様の道場があります。
そこでは、一度入るとやめる生徒は少なく、生徒の継続率が高くなっています。それは、空手指導に関するサービスの総合的な品質(QCD+PSME)が高いが故に、顧客満足度(CS)が高いからだと考えています。具体的には、指導員による各個人のレベルに応じたきめ細かな配慮の行き届いた指導が、丁寧かつわかりやすくなされ、教本や指導教程も適切で、ムリ・ムダ・ムラなく稽古ができます(Q:品質)。
その一方で、他のスポーツ系の習い事よりも安価な月謝となっています(C:費用)。また、クラスは月曜日から日曜日まで毎日あるため、顧客は自分の都合に合わせて学ぶことができます(D:量・納期)。さらに、緑帯(4級)以上で実施する「組手」では、けがをしないよう・させないように、防具をつけて安全に練習します(S:安全性)。そして、道場の雰囲気が良く、居心地が良いことが、生徒の継続率の高さに表れていると思います(M:心の健康、モチベーション)。道場自体も新しく、整理・整頓・清掃が行き届きとても清潔で、その結果、生徒は気持ちよく稽古に打ち込めます。
このようなことから、生徒は、安全に長く稽古を続けることができ、それが顧客満足度(CS)の向上につながっていると共に、その良い評判(口コミ)により、若手の男性だけでなく、女性や子供、シニアなど多くの方が実際に入門しているのだと思います。
製造業でおなじみのQCD+PSMEですが、サービス業においても重要な視点だと感じます。
一般財団法人日本規格協会
標準化研究センター 上席研究員
プロフィール
2017年7月より標準化の高度化に関する研究やその成果の普及活動に従事。
宅地建物取引主任者資格試験合格 、QC 検定2級、空手2段