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レナ(元バニラビーンズ、現アイドル研究家)による、アイドル戦国時代を勝ち抜くリーダー論、組織論(前編)

2020/02/18

フランスの経済学者であるジャック・アタリは、1977年に著した『ノイズ─音楽・貨幣・雑音』の中で、「音楽は予言的であるが故に来たるべき時代を告知する」と述べています。
事実、音楽はテクノロジーの面でもレコードからテープ、CD、MD、ダウンロードからサブスクリプションサービスへと他の分野に先駆けて変貌を遂げています。
翻って日本の音楽シーンに目を向けると、チャートを独占しているのはいわゆる「アイドル」による楽曲で、ここに諸外国とは異なる傾向を見出すことができます。
アタリの論によれば、日本の音楽、とりわけアイドルの状況を紐解けば、来るべき日本社会へのヒントが得られるかもしれません…。
そこで、自身もアイドルとして活動をされ、現在はタレント、アイドル研究家としても活動されているレナさんに、アイドル戦国時代を勝ち抜くリーダー論や組織論についてお話を伺いました。

レナ(以下、レ):マネージャーさんからこのインタビューの話を聞いたとき、どうして私に?って思いました(笑)

JSA(以下、J):10年以上アイドルを続け、引退後の今はアイドル研究家としても活動されているレナさん以上の適任はいないと思っています。

レ:そう言ってもらえると嬉しいですね。

J:アイドル戦国時代と言われるようになって久しいですが、勝者と敗者が明確に分かれているように思います。毎日のようにテレビ出演するトップアイドルから、地下アイドル、最近は地底アイドルと呼ばれる人たちまでいるようです。

レ:たしかに昔と比べると、アイドルの数は桁違いに多いです。アイドルの定義というか敷居が低くなっていて、本人が名乗ればアイドルになれる。そんな時代だと感じますね。

J:その戦国時代を勝ち抜くアイドルのリーダー論だったり、組織論を聞かせていただくというのが今回の主旨なんです。その中には、一般のビジネスマンにとっても参考になる話があると思うので。

レ:格好良く言えば戦国時代、別の言い方をするとアイドルの無法地帯になっていると思います。私がバニラビーンズ(注:レナが所属していたアイドルデュオ。2007年に結成され、惜しまれつつ2018年に解散した)でデビューした頃は、アイドルといえば、街でスカウトされたり、オーディションを受けたりでデビューして、テレビや雑誌の中の人という認識が一般にあったと思うんです。

J:敷居が高かった分、ある意味、全員が少なからず勝者だったわけですね。それが今は、アイドル飽和状態になってしまっている、と。バニラビーンズのデビュー当時の戦略というのは、どんなものだったのでしょう。

レ:所属していた事務所が元々、広告代理店だったんです。その頃、IKEAやH&Mが日本に入ってきていて、一種の北欧ブームが来ていたんですけど、広告屋が考える北欧カルチャーの音楽部門というのが戦略でしたね。

J:広告会社がアイドルを作ったわけですか。

レ:はい。北欧をテーマにして、衣装が作られ、CDジャケットが作られました。今から考えると、私たちを売り出すというよりは、ブームを更に大きくするために、北欧のアートだったりデザインだったりを売る手法として、私たちが使われていたのかな、と。つまり、突き詰めて考えると中身は誰でも良かったんじゃないかと思うんです。

J:全て事務所のコンセプトありきだったと。

レ:そうです。少なくとも自分たち発信ではありませんでした。それにデビュー当時は、自分から戦略を提案するなんてできませんでしたよね。まだ十代でしたし、デザイン会社と音楽制作会社という、二つの大人のプロチームからの提案を受けて「わかりました。それをやります」という感じでした。

J:事務所から言われるがままだった、と。ただ、その枠組みに従って動くことでファンの認知向上に繋がる面はありますよね。固定化=マーク、になるわけですから。その一方で、枠組みを飛び出し個性を発揮することで、他のアイドルと差別化を図ることも必要だったと思うのですが。

レ:私たちの場合、CDを出した後は何でも自由にできたんです。ライブとか、イベントとか、リリース後の個性出しは全て本人に任されていました。最初はステージくらいしか個性を出せるところはなかったんですが、そのうちSNSが発達してきて、mixiだとか、アメーバブログだとか、Ustreamなど、徐々に自分を見せられる場面が増えてきました。今はインスタグラムやTwitter、Showroomなど、更に多くのSNSツールがあるので、これらをいかに上手く活用して、自分の個性が出せるか。それがアイドルに求められているように感じます。

J:バニビ(注:バニラビーンズの略称)さんの個性という点では、歌うより喋りが上手いアイドルという印象をファンの方々は持っていたと思います。

レ:元々、私もリサ(注:バニラビーンズのもう一人のメンバー)も、歌に込められたメッセージを伝えたい!という気持ちが強い二人ではなかったんですよね。それに、さっきお話しした通り、ステージでの振る舞いには制限がなかったので、どんどんMCが長くなってしまって……。気がついたら、喋るアイドルみたいな扱いになっていました(笑)

J:でも、結果的には、10年以上という非常に息の長いアイドルになったわけですから、その個性の出し方は成功だったと言えるんじゃないでしょうか。

レ:そうかもしれません。ファンの方たちとの距離感がちょうど良かったので、バニビの寿命は長かったんだと思います。でも、だからこそ、がっちりとファンがつかなかったとも思うんです。最近のアイドルはファンとの距離が近すぎて、結果として短命になっているんじゃないかな。ガッとくるファンの方って、アイドルが振り向いてくれないと感じると、すぐに去ってしまうので。

後編へつづく…

編集部より
アイドルは事務所による「設定」があるのが通常で、時には服装や髪形さえも厳密に決められており、その枠組みに沿って活動することでそれが、「〇〇印」となり、ファンへの認知向上が図れるそうです。これも一つの「標準化」の考え方であり、その機能と言えるのかもしれません。後編ではアイドルにとってのリーダーやライバル、セカンドキャリアについてご紹介します。

おまけ
編集部職員のオススメ曲

  • ニコラ
    バニビの代表曲。ストリングスを取り入れたギターポップが爽やかな印象を残します。
  • 恋のセオリー
    和製スウェディッシュポップの傑作。曲全体から感じる柔らかな手触りとサビの疾走感が心地良いです。
  • sweetlife
    切なさの中に前向きな雰囲気を感じさせる、キャリアを重ねたバニビだからこそ歌える一曲。


レナ
タレント、女優、アイドル研究家


アイドルユニット「バニラビーンズ」の一員として2007年にデビュー。
「実験型次世代アイドル」として注目を集め、2人組アイドルの系譜を継ぐ存在として活躍。
2018年10月新宿ReNY「T-Palette Records Presents バニラビーンズに感謝祭 ~Final Innocence~」のLIVEを最後に惜しまれつつも解散。
アイドルとしての活動の他、タレント、女優、番組MCなど幅広く活動中。

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