
機能回復ロボットの安全性に関する国際標準が発行されました
2019/07/25
<経済産業省の記事から抜粋>
機能回復を行うためのロボットは世界各国で開発され、利用され始めています。しかしながら、患者と一体となって運動するロボット機器という特殊性があること、また、既存の複数の要求事項の解釈に幅があることから、世界各国の承認審査基準は整合していませんでした。今般、これを解決すべく、日本の提案により、機能回復ロボットの安全性に関する国際標準(IEC 80601-2-78)が発行されました。これにより、日本の先端医療技術の国際市場への導入促進が期待されます。
1.背景
運動機能等の機能回復を意図したロボット医療機器(以下、機能回復ロボット)は世界各国で開発されており、そのうちのいくつかは既に承認され、実用化されています。機能回復ロボットには、
- 患者の運動機能の低下に関連した運動機能改善を行うもの
- 患者の運動機能を定量的、又は、定性的に評価するもの
- 患者の運動機能を補助することで、低下した運動機能を補償するもの
- 患者の運動機能の低下によって生じる二次的な症状を緩和するもの
があり、機能回復ロボットを利用する目的として、
- 理学療法士及び作業療法士の負荷軽減、又は、同時に診療できる患者数の増加
- 機能回復ロボットを利用することによって初めてもたらされる治療効果
- 定量的な効果測定による科学的根拠ある治療計画の策定と進捗確保
- 機能回復ロボットにしかできないような運動機能の補助及び補償、又は、それによる症状の緩和
が知られています。
機能回復ロボットを実用化するために必要となる安全性の審査は各国の法規に基づいて行われています。これまで、その審査基準には、「医用電気機器の基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項IEC 60601-1 (JIS T 0601-1)」及びその副通則が用いられていました。しかしながら、患者と一体となって運動するという機能回復ロボットの特殊性のために、通則及び副通則の解釈に幅が生じてしまい、世界各国の審査基準は整合していませんでした。そのため、機能回復ロボットの安全性に関する国際的な基準の開発が必要となりました。
規格発行までの経緯と本規格の概要等、本記事の詳細は、経済産業省のページをご覧ください。
<出典:経済産業省のウェブサイトを加工して作成>