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広がる「おもてなし」認証、サービス品質アピールで人材確保も

広がる「おもてなし」認証、サービス品質アピールで人材確保も

2019/07/26

サービス業の品質に〝お墨付き〟を与える制度「おもてなし規格認証」の利用が広がっている。2017年に経済産業省が制度を創設して以来、計3万件以上の事業者が認証を取得。飲食、宿泊、販売など取得各社の顔ぶれは多彩と言える。各社はサービス品質のPRに加え、人材の獲得などにも認証を活用。サービス産業は需要拡大が予想される反面、競争激化や人手不足など課題も多く、そうした課題の解決やさらなるレベルアップの原動力として同制度の一層の利用が期待される。


「カーディーラーなど、想定していなかった業態の事業者も認証を取得している」―。制度を担当する経産省職員にとって、利用事業者の多様さは嬉しい誤算であるようだ。〝サプライズ組〟の一つ、滋賀ダイハツ販売栗東店は女性客向けの店舗づくりなどが評価され、最高位の「紫」認証を2018年2月に取得した。店内をカフェのような雰囲気にし、子供用の遊び場なども設置。顧客の約7割を占める女性に対する徹底的な配慮が、高評価を呼んだ。
ポイントは、顧客の期待を大きく上回る〝かけがえのない体験〟の提供である。店舗スタッフが「どうぞ」と送り出せるよう自動ドアをあえて手動に戻したことなども、特筆に値する。
おもてなし規格認証では、このような顧客の期待への対応が重視される。最高位の紫認証では、独創的かつ期待値を大きく超える「おもてなし」が必須要件。認証取得には、徹底した顧客視点の発想が欠かせない。取得への取り組みは、自社の顧客視点を見つめなおす契機になるはずである。

 
認証を人材確保に利用する例もある。伝統工芸技術を用いたブライダルジュエリーを手掛ける杢目金屋(もくめがねや) 表参道本店は、新卒採用で認証制度を活用。まだ数えるほどの事業者しか取得していない「紫」認証でサービス品質の高さをアピールすることで、学生の信用を得られているという。
 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、サービス産業はさらなる需要拡大が予想される。日本に「おもてなしの国」をイメージする訪日客も多い中、同認証制度によるサービス品質の底上げに期待したい。



【関連情報】
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応募方法等詳細はこちらをご覧ください。





斉藤大介
プロフィール
平成5年(一財)日本規格協会 国際標準化協力センター入職。ISO/REMCO,ISO/CASCO等の国内委員会事務局及び国際標準化協議会を担当。以降,規格書誌DB維持管理,規格普及販売,英訳JIS,広報・マーケティング等の部署を経て2016年よりサービス標準化を担当。