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バルブに関する通則の改正!JIS B 2003:2024, JIS B 2004:2024発行

2024/04/26

2024年1月22日にJIS B 2003(バルブの検査通則)、2024年2月20日にJIS B 2004(バルブの表示通則)が発行されました。

一般機械装置などに用いるバルブに関して、検査通則(構造・寸法・外観・材料・圧力検査、及び、その他の検査)について規定したJIS B 2003と、表示通則(サイズ、圧力、材料などの情報を表示する際の方法及び記号)について規定したJIS B 2004が改正されました。

JIS B 2003:2024

バルブの検査通則
General rules for inspection of valves

JIS B 2004:2024

バルブの表示通則
General rules for marking on valves

■バルブって何?

バルブには、気体や液体などの流体を「止める」「流す」「絞る」という役割があります。身近なところだと、水道の蛇口もバルブといえます。さらに、流体を制御するためのバルブは、ビルの内部、工場、発電所、下水道設備、ロケットのエンジンなど、私たちの生活を支えるさまざまな場所に存在しています。

■従来の圧力検査について

元々はバルブのそばで人が目視によって検査を行っていましたが、万が一バルブに不具合があった場合、流体が漏れるなどの危険が生じる可能性があります。また目視による検査の場合、検査する人によって結果にばらつきが生じる可能性もあります。
そこで、人がバルブに近寄らずとも、画像により結果を確認でき、安全かつ公正かつ効率的に検査を実施できるよう、検査の自動化を目指したのでした。


■なぜJIS B 2003は改正されたのか?

この規格は、1968年に制定された後、1994年のSI単位導入に伴う改正を経て、2018年には水圧試験及び空気圧試験に用いる試験流体を明確にするための追補改正が行われました。

その後、圧力検査においては、水圧試験又は空気圧試験の実施から試験結果の判定までを人の目視に頼らず、検査装置等によって検査の一部を自動化して行う技術が市場で普及しました。
検査精度の向上や安全性の改善が図られるようになってきており、自動検査対応を可能にするための規定の見直しが求められていました。

こうしたことから、圧力検査における自動検査への対応のほか試験圧力を見直すなど、最近の我が国の検査実態を反映するため、このJISを改正する必要があったのです。

■JIS B 2003:2024に期待されること

この改正によって、圧力検査における自動検査への対応が図られるとともに、最近の我が国の検査実態が反映されることから、例えば、バルブを水没させて圧力を加える試験の際に人が水槽を覗き込むような危険を回避できるほか、より精度の高い漏れの検知が可能となるでしょう。

検査の合理化及び精度の維持向上が図られ、ひいては製品品質の確保、生産性の向上などに寄与することが期待できます。
また水を使用する検査と異なり、空気を使用する検査では排水が出ないため、省資源化にもつながります。


■なぜJIS B 2004は改正されたのか?

この規格は、1987年にISO 5209:1977及びIEC 5345:1982を基に制定され、1994年にSI単位導入に伴い改正されました。その後、当時一般的でなかった“レーザーマーキング”の表示方法が市場で使用されるようになるなど、市場との乖離が目立つようになり、市場の混乱が生じてきました。

一方、ISO 5209も“レーザーマーキング”の表示方法を取り込み、規定内容を大幅に充実して2019年に改訂されました。また、JIS B 2005規格群(工業プロセス用調節弁)及びJIS B 2061(給水栓)が独自に表示方法を規定し、その他の引用規格でも統廃合が進んでおり、適用するバルブについて実態との齟齬が生じていました。

このような状況から、“レーザーマーキング”の表示方法を追加するとともに、国際規格に整合させて、実態に即したJISに改正する必要があったのです。

■レーザーマーキングによる表示のメリット

レーザーマーキングによる表示は、多品種小ロットのバルブ生産の際に適します。バルブに表示するための鋳型を一から作るよりも、レーザーマーカーの使用はコスト面でも作業面でも長けているためです。また、小サイズのバルブへの表示作業も行いやすいのです。

真ん中はレーザーマーキングによる表示、両脇のナットは刻印による表示。
画像提供:株式会社キッツ

水素ステーション用のバルブ。真ん中はレーザーマーキングによる表示。
画像提供:株式会社キッツ

■JIS B 2004:2024に期待されること

表示方法としてレーザーマーキングを加えることによって、多品種小ロット生産に柔軟に対応できるようになり、メーカーの生産性が向上するとともに、小サイズのバルブへの、より正確かつ省スペースの表示が一般的になることが期待されます。

また、国際規格と整合することによって、本規格の利便性も向上することが期待されます。

■改正への思い、ここだけの苦労話 ~原案作成委員会のコメント~

規格が技術に追い付いていない現状を是正したいという思いを持って改正に取り組みました。
各企業・各業界の背景を汲み取り理解しながら、立場の異なる方々それぞれに理解いただけるよう説明し同意を得ることは、難しい経験で苦労しました。

また、JIS B 2004は元々、日本独自の内容で制定されていた規格でしたが、今回の改正では、対応するISO規格との整合性を鑑みる必要がありました。ISO規格に表現を合わせるという作業はなかなか大変なものでしたね。

検査の自動化やレーザーマーキングによる表示など、バルブメーカーがすでに持っていた新しい技術が規格上にも反映され、効率的な検査、また高精度な製品がより増えることを願っています。

■日本バルブ工業会って?

この2つの規格の原案作成団体である一般社団法人 日本バルブ工業会は、日本のバルブ工業の進展を目的とし1954年に設立されました。2024年3月21日には70周年を迎え、より一層の活動が期待されます。バルブのイメージキャラクター「ばるちゃん」も、バルブのPR活動に勤しんでいるようです♪

[日本規格協会]