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加熱式たばこ喫煙所の図記号案が決定!従来との違いとは?

加熱式たばこ喫煙所の図記号案が決定!従来との違いとは?

2019/06/12

加熱式たばこ喫煙所の標準案内用図記号(ピクトグラム)が国のJIS制度に基づき定められ、2019年夏をめどに運用が始まる。2020年の健康増進法全面施行に向けた取り組みであり、施行後、施設運営事業者などはこの標準図記号のような案内の表示が求められることになる。従来の紙巻たばこと加熱式たばこは健康増進法における位置づけが異なり図記号も区別する必要があるため、加熱式専用の図記号が定められた。ただ、加熱式用喫煙所自体がまだ普及しきっていないため、新たな図記号が広く使われるか未知数な面もある。



新たな図記号は健康増進法を所管する厚生労働省や、JIS関連政策を担う経済産業省などによる検討を経て定められた。紙巻たばこ喫煙所の図記号と比べてみると、新図記号は排出される蒸気が点線で、また図の左側に描かれていることが相違点として目に付く(紙巻たばこ用は煙が実線で右側に配置されている)。加熱式の蒸気は目に見えにくく、加えてたばこの根元側から排出されるため、このようなデザインになった(紙巻きたばこだと煙が目に見え、先端から排出される)。つまり、いずれの図記号もたばこ利用者が図柄の左隣にいると考えると、両たばこの違いやデザインの差別化ポイントが分かりやすい。さらに、加熱式用では操作ボタンを想起させる図柄が配置されているのも特徴である。



ただ、図記号案が固まるまでには紆余曲折があった。案の策定にあたり厚労省、経産省、日本規格協会(JSA)などが有識者検討会を2019年に開いたが、検討の参考にするための試験では新図記号の案を見せられた国内被験者の約6割が通常の喫煙所向けの図記号であると回答。ある委員からは「JIS図記号化が時期尚早な案件」との慎重意見も出た。加熱式たばこの一般向け認知度がまださほど高くない事情もあり、図記号で紙巻きたばことの区別を理解してもらうのは容易ではない。結局新たな図記号については、「加熱式たばこ専用喫煙室」と文字による補助表示を前提条件とすることで落ち着いた。



JIS化への慎重意見はあったものの、健康増進法の全面施行に伴い加熱式専用図記号のニーズが高まることは間違いない。同法が円滑に機能するかという意味でも、新たな図記号がどこまで浸透するかは注目される。







黒田優香
プロフィール
消費生活関連のJIS開発やCOPOLCO(消費者政策委員会)国内事務局を担当
国内、国際共に消費者の利益となる規格の開発に取り組む。
全国各地でセミナーを開催し、消費者の標準化普及啓発活動も行っている。