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2025年11月発行の注目JISをご紹介いたします(JIS C1302,JIS H1183,JIS H7005,JIS K6249)

2025年11月発行の注目JISをご紹介いたします(JIS C1302,JIS H1183,JIS H7005,JIS K6249)

2025/11/26

 一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)が2025年11月に発行した注目のJISを、各規格の発行に至った背景とともにご紹介いたします。

JIS C 1302:2025

【改正】
絶縁抵抗計
Insulation resistance testers

■JIS C 1302はなぜ改正されたのか?

 この規格は、対応国際規格IEC61557-1及びIEC61557-2を基に、低電圧配電路の絶縁測定、機器、器具の絶縁測定などに用いる、電池を内蔵する定格測定電圧1000V以下の絶縁抵抗計について規定したものです。これらの対応国際規格は、低電圧配電システムのさらなる安全性の向上、測定不確かさの国際規格との整合、測定カテゴリに関する要求事項の追加などを取り込み、2019年に改訂されました。我が国においても使用者がより安心して絶縁抵抗計を使用できるように、この規格に対応国際規格の改訂内容を反映させる必要がありました。

■JIS C 1302の改正に期待されること

 対応国際規格の改訂内容を反映することによって使用者の安全性が向上し、また国際規格との整合性が高まることにより、貿易障壁を下げることが期待されます。



JIS H 1183:2025

【改正】
銀地金の光電測光法による発光分光分析方法
Method for photoelectric emission spectrochemical analysis of silver bullion

■JIS H 1183はなぜ改正されたのか?

 この規格は、JIS H 2141(銀地金)に規定する銀地金の光電測光法による発光分光分析方法について規定し、鉛、ビスマス、銅及び鉄の定量に適用するもので、2007年に改正されました。現行規格において、発光分光分析方法の一般的事項、試料、試料の調製などの複数の箇所で引用しているJIS Z 2611(金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則)及びJIS Z 2612(金属材料の写真測光法による発光分光分析方法通則)が、技術の進歩によって現状の分析方法と乖離していたため廃止され、JIS K 0116に切り替えられました。
 これを受けて、廃止されたJIS Z 2611及びJIS Z 2612を引用して規定している箇所、例えば、使用する試験装置を附属書に規定するなど、この規格に必要な規定に改めるとともに、実態に即した規定内容に変更するため、この規格を改正する必要がありました。

■JIS H 1183の改正に期待されること

 この規格の改正で、引用規格を見直し、廃止された引用規格の内容をこの規格に規定することによって、利用者の混乱が解消され、利便性が向上することが期待されます。



JIS H 7005:2025

【改正】
超電導関連用語
International Electrotechnical Vocabulary-Superconductivity

■JIS H 7005はなぜ改正されたのか?

 この規格は、超電導材料に関する主な用語及び定義について規定したものです。この規格の対応国際規格であるIEC60050-815の第3版 が2024年8月に発行され、技術の発展によって新たに高温超電導及びエレクトロニクスの分野の技術・製品が市場に出てきており、この分野の円滑なコミュニケーションのために用語の分類を増やし、それらの用語を追加するがなど大幅な改訂が行われます。それに合わせて、我が国の超電導分野においても、新しい用語を活用させるため、この規格の改正が必要でした。

■JIS H 7005の改正に期待されること

 この改正によって、生産者及び使用者間で超電導分野の意思疎通が活発になり、我が国の国際競争力の向上が期待されます。また、国内の研究教育機関への普及によって超電導応用技術の進展にも寄与します。



JIS K 6249:2025

【改正】
未硬化及び硬化シリコーンゴムの物理試験方法
Physical testing methods for uncured and cured silicone rubber

■JIS K 6249はなぜ改正されたのか?

 この規格は、ミラブル形シリコーンゴムコンパウンド及び液状シリコーンゴムコンパウンドの試験方法について規定しているものです。近年、ユーザーニーズの多様化により、広範な製品特性を評価する必要が生じていることから、反発弾性試験及び粘度測定法(円錐-平板型回転粘度計による方法、レオメータによる方法)の追加要望が業界から求められています。また、前回改正より20年経過するなかで、シーラント用途では関連規格の改正によってタックフリータイムの用語よりも指触乾燥時間の用語が一般的となっており、利用者に正しく認知を促す意味で用語を変更する必要があります。
 このような状況から、市場の実態に合わせ、最新の技術を導入したJISに改正する必要がありました。

■JIS K 6249の改正に期待されること

・市場の実態に合わせた改正を行うことにより、製品の開発・製造が容易になり、かつ取引の円滑化も期待されます。
・利用者にとってシリコーンゴム製品の品質比較が容易になることで、市場競争の活発化が期待できます。

[日本規格協会]