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2025年12月発行の注目JISをご紹介いたします(JIS B6190-4,JIS G1258-0,JIS H8602,JIS K6272,JIS X25002,JIS X25019 )

2025年12月発行の注目JISをご紹介いたします(JIS B6190-4,JIS G1258-0,JIS H8602,JIS K6272,JIS X25002,JIS X25019 )

2025/12/23

 一般財団法人日本規格協会(本部:東京都港区、理事長:朝日弘)が2025年12月に発行した注目のJISを、各規格の発行に至った背景とともにご紹介いたします。

JIS B 6190-4:2025

【改正】
工作機械試験方法通則-第4部:数値制御による円運動精度試験
Test code for machine tools-Part 4: Circular tests for numerically controlled machine tools

■ JIS B 6190-4はなぜ改正されたのか?

 この規格は、数値制御工作機械の二つの直進運動軸を同時に制御して円運動させたときの両方向の真円度、平均的な両方向の半径偏差、真円度、及び半径偏差の精度試験方法及び通則について規定したもので、ISO 230-4:2005(第2版)を基とし、数値制御工作機械全般の輪郭加工性能の測定方法を提供することを目的としています。
 対応国際規格であるISO 230-4は、最近市場で主流となっている5軸マシニングセンタなど、回転テーブルや万能主軸頭を備える機械への対応のために、回転軸を使用した円運動試験に関する規定を追加し、2022年に改訂されました。
 このような状況から、我が国においても対応国際規格との規定事項の乖離を解消するとともに、技術の実態に即した内容にするため、このJISを改正する必要がありました。

■ JIS B 6190-4の改正に期待されること

 この規格の改正によって、工作機械全般の円運動試験が及ぼす複合的な影響について国際整合性のとれた方法を標準化することができ、製品の比較、受渡し、保守などの目的で行う精度試験の公正性を担保することが可能となり、活発かつ公正な商取引の促進が期待できます。また、国際的な取引の円滑化とともに、市場の拡大が期待されます。



JIS G 1258-0:2025

【改正】
鉄及び鋼-ICP発光分光分析方法-第0部:一般事項
Iron and steel-ICP atomic emission spectrometric method-Part 0: General rules

■JIS G 1258-0はなぜ改正されたのか?

 JIS G 1258-0:2007は、鉄及び鋼のICP発光分光分析方法の一般事項を規定したものです。現行規格は、2017年に追補2によって改正されて以降、約7年間経過しましたが、この間、関係するJIS K 0050及びJIS G 1201が改正され、分析方法規格に要求される事項などが変化してきたため、技術的内容を見直す必要がありました。

■JIS G 1258-0の改正に期待されること

 現行規格を分割制定することによって、規格使用者の利便性が高まるとともに、鉄鋼材料の成分組成が迅速かつ正確に評価され、効率的な産業活動に寄与することが期待できます。



JIS H 8602:2025

【改正】
アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜
Combined coatings of anodic oxide and organic coatings on aluminium and aluminium alloys

■JIS H 8602はなぜ改正されたのか?

 この規格は、アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化塗装複合皮膜について規定したものであり、その加工技術は、特に屋外建材において我が国発の技術として確立しています。現行規格では、碁盤目試験及び沸騰水碁盤目試験によって行う塗膜の付着性の規定において、塗膜の剝がれの判断基準が曖昧であり、市場からその明確化が望まれています。また、外観試験に使用する照明は、現行規格では高演色形の蛍光灯ランプ(演色AAA)が規定されていますが、照明市場において製造がLEDへとシフトしているために、入手困難な状況が続いています。さらに国際的には、我が国主導で提案した対応国際規格が発行され、市場から対応国際規格への整合が求められています。このような状況から、市場の実態に即した試験方法とするために改正する必要がありました。

■JIS H 8602の改正に期待されること

 国際規格及び我が国の市場の実態に合わせた改正を行うことによって、試験結果の判断基準が明確となり、生産等の合理化及び取引の単純公正化に寄与することが期待できます。



JIS K 6272:2003/AMENDMENT 1:2025

【改正】
ゴム-引張,曲げ及び圧縮試験機(定速)-仕様(追補1)
Rubber-Tensile, flexural and compression test equipment (constant rate of traverse)-Specification (Amendment 1)

■JIS K 6272はなぜ改正されたのか?

 この規格は、ゴムの引張試験、曲げ試験、せん断試験及び圧縮試験に用いる定速試験機の仕様について規定しているもので、2003年にISO 5893:2002を基礎として制定されました。ISO 5893は技術的内容ではない修正のため2019年に改訂されましたが、リング状試験片の試験に使用するジグのプーリ径が引張特性の求め方のISO 37と異なっており、整合のため2020年にAmendmentの発行により改訂されました。このような状況から、対応国際規格の技術的な改訂である2020年発行のAmendmentとの整合及び近年の技術の実態に即した内容とすべくJISを改正する必要があります。
 なお、ISO 5893の2019年の改訂内容は技術的内容ではなかったため、2019年の改訂に対応するための改正は見送り、今回の追補改正は、対応国際規格の技術的な改訂のAmendmentに対応させるためだけの改正となります。

■JIS K 6272の改正に期待されること

 この規格を改正することにより、別のJISである引張試験との不整合に戸惑うことなく製品の開発・製造が容易になり、かつ、取引の円滑化も期待される。



JIS X 25002:2025

【制定】
システム及びソフトウェア技術-システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-品質モデルの概観及び利用法
Systems and software engineering-Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)-Quality model overview and usage

■JIS X 25002はなぜ制定されたのか?

 この規格は、ISO/IEC 25002:2024を基に制定するもので、SQuaREファミリーの品質モデルの構造を紹介し、品質モデル開発のための要求事項を規定し、品質モデル適用におけるカスタマイズ方法、並びに品質測定量及び品質評価プロセスを開発する際の指針を提供する重要な規格です。
 SQuaREファミリーは、品質管理、品質モデル、品質測定、品質要求及び品質評価の各部門からなる国際規格として整備されています。これらの国際規格は、顧客、利用者、開発者、そのシステムにより影響を受ける他の人々など多くの利害関係者にとっての情報システム及びITサービスの価値を確実にするための手段を提供します。我が国においてもこれらの国際規格との整合を図ったJIS化が進められてきています。
 ICT業界で既に非常に多く利活用されているISO/IEC 25010:2011(対応するJISはJIS X 25010:2013)は、2023年に改訂され、品質モデルの概観及び利用法に関する事項をISO/IEC 25002:2024へ移行し、製品品質モデルに関する事項をISO/IEC 25010:2023で引続き規定し、利用時品質モデルに関する事項をISO/IEC 25019:2023へ移行することで、旧ISO規格は置き換えられました。このため、国際規格の体系とJISと整合を図るとともに、我が国の技術の実態に即した規格とするため、これら3つの国際規格に対応するJISを同時期に制定・改正する必要があります。JIS X 25010及び25019とともにこの規格も制定する必要がありました。

■JIS X 25002の改正に期待されること

 利害関係者である顧客組織と開発組織との間、又はコンシューマ製品の評価組織において、提供するシステム及びソフトウェア製品並びに利用時品質の要求に関する総合的な仕様を明確にし、合意形成することは重要であり、そのような活動を効果的に行うためのよりどころとなります。また、品質要求事項の仕様化を行う技術者や組織は、有用かつ利便性の高い情報を得られます。さらに、この規格の制定によって、品質モデルに関連するSQuaREファミリー国際規格との整合性を確保したJISが体系的に整備されます。制定済のSQuaREファミリーのJISと共に、顧客組織と開発組織との間で生産・取引の合理化、効率化、取引の円滑化などに寄与することが期待できます。



JIS X 25019:2025

【制定】
システム及びソフトウェア技術-システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-利用時品質モデル
Systems and software engineering-Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)-Quality-in-use model

■JIS X 25019はなぜ制定されたのか?

 この規格は、ISO/IEC 25019:2023を基に制定するもので、システム及びソフトウェアの利用時品質モデルを規定し、システム及びソフトウェアの効果や影響範囲を直接利用者だけでなく、組織や公共及び社会全体まで拡張します。
 SQuaREファミリーは、品質管理、品質モデル、品質測定、品質要求及び品質評価の各部門からなる国際規格として整備されています。これらの国際規格は、顧客、利用者、開発者、そのシステムにより影響を受ける他の人々など多くの利害関係者にとっての情報システム及びITサービスの価値を確実にするための手段を提供します。我が国においてもこれらの国際規格との整合を図ったJIS化が進められてきています。
 ICT業界で既に非常に多く利活用されているISO/IEC 25010:2011(対応するJISはJIS X 25010:2013)は、2023年に改訂され、品質モデルの概観及び利用法に関する事項をISO/IEC 25002:2024へ移行し、製品品質モデルに関する事項をISO/IEC 25010:2023で引続き規定し、利用時品質モデルに関する事項をISO/IEC 25019:2023へ移行することで、旧ISO規格は置き換えられました。 そのため、国際規格との整合化の観点、及び技術の実態に即した内容にするため 、これら3つの国際規格に対応するJISを同時期に制定・改正する必要があり、この規格も制定する必要がありました。

■JIS X 25019の改正に期待されること

 利害関係者である顧客組織と開発組織との間、あるいはコンシューマ製品の評価組織において、システム及びソフトウェア製品等の品質要求に関する仕様を明確にし、合意形成する活動を効果的に行うためのよりどころとなり、品質要求の仕様化を行う技術者及び組織は有用な情報を得られます。また、システムの効果及び影響を、組織や公共及び社会全体のように広範囲で取り扱うことが可能となります。  既に制定・改正されているSQuaREファミリー JIS X 25000規格との整合性の確保で、システム及びソフトウェア製品の品質に関して、顧客組織と開発組織との間で、生産・取引の合理化・効率化、取引の円滑化に活用することが可能です。さらに、温暖化防止や環境汚染防止など環境に悪影響を及ぼす事象の発生を抑制する特性を品質要求として定義でき、環境保全に寄与できます。

[日本規格協会]