
新たな国際標準戦略を読み解く ~概要編~
2025/06/13
約19年ぶりの改訂、国際標準化を活用して社会課題の解決を手動
内閣府知的財産戦略本部は、2025年6月3日に会合を開き、「知的財産推進計画2025」を策定しました。この会合では、「知的財産推進計画2025」に加え、国際標準戦略部会が提言した「新たな国際標準戦略」が決定されました。
この戦略は、2006年12月6日に知的財産戦略本部が策定した「国際標準総合戦略」から約19年の歳月を経て、今回の改訂が行われました。
本戦略では、国際社会及び我が国が直面する地球規模の課題に対処するため、国際標準の重要性を明確に示しています。特に、気候変動、サプライチェーンの分断リスク、急速な技術革新、人口減少・高齢化といった課題に対し、国際標準を通じた解決策を提供することが求められています。
本戦略は、国際標準を活用して社会課題の解決を主導し、新たな市場を創出することを目指しており、具体的には、防災、エネルギー、量子技術などの分野において、官民が連携し、規格開発や標準の活用を進めることが期待されています。
経済安全保障の観点からも、国際標準を通じて自国の経済的自律性や国際競争力を確保することが重要であることが強調されています。
特に、昨今、長らく続く紛争による国際情勢の複雑化や米国による関税措置にまつわる一連の対応により、1980年代以降これまで世界の主流であった『新自由主義の時代』から、『保護主義が台頭する時代』へと移行をしつつあることが謳われており、そのような激動の中、本戦略では、「国際標準」が「自律性確保・サプライチェーン強靭化の観点からは、同志国との連携なども国際標準の活用によって、重要物資の安定供給に貢献すること」が述べられていることからも「国際標準」の果たす役割は多大であることが分かります。
この戦略の実施にあたっては、産業界や学術界の意識改革、人材育成、専門サービスの強化が不可欠です。さらに、国際標準化機関への関与を強化し、フォーラム規格や地域規格を積極的に活用することで、我が国の国際標準活動を推進していく必要があります。
日本規格協会グループは、総合的標準化機関として「新たな国際標準戦略」実施に関わる各種活動・サポートを行って参ります。
参照元:
・内閣官房 知的財産戦略本部ウェブサイト
・内閣官房 知的財産戦略本部「新たな国際標準戦略」
・内閣官房 知的財産戦略本部「新たな国際標準戦略」の概要
・内閣官房 知的財産戦略本部「新たな国際標準戦略」のポイント
[日本規格協会]
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