Vol.1 株式会社カブト
── このたびはインタビューにお答えいただき、どうもありがとうございます。早速ですが、以前から日本規格協会やJSA規格の存在はご存じでしたか。
日本規格協会の存在は知っていましたが、JSA規格については全く知りませんでした。
── JSA規格(JSA-S1003)を開発しようと思ったきっかけ、経緯などを教えて下さい。
2011年3月の東日本大震災の際、被災された多くの方々にその後の生活や事業などの復旧のため保険金をお役立ていただきました。一方で、適切な保険に加入しておらず給付を受けられなかった方々もいらっしゃったんですね。
── そのようなニュースを見た記憶があります。
はい。保険代理店が保険を適切に提案することは顧客を守るために非常に重要です。一方で、保険代理店がより良い提案、より良いサービスの提供を消費者にしていくためには、保険代理店の品質を消費者が正しく理解する必要があると感じました。
また、保険代理店には、2016年の改正保険業法の施行以降、態勢整備義務や意向把握義務など新たな義務が発生しており、顧客本位の業務運営や高い品質が求められるようになっています。そこで、これらに真剣に取り組む保険代理店が消費者から適切に評価されるためにはどうすればよいかを考えていたとき、消費者に対して、保険代理店が持つ品質の一つの評価基準を示すことが重要であると思ったんです。その考えがJSA規格の開発に至りました。
──なるほど。御社は、過去に何らかの標準化活動だったり、規格の開発に関わった経験はございましたか。
いいえ。ありません。
── では実際にJSA規格の開発には、困難に感じたこともあったのではないですか。
労力やコストのこともありますが、一番は時間の確保ですかね。日々の業務もある中で、開発グループメンバーや関連各所との考え方の調整ですとか、検討書類等の作成などに多くの時間が必要となりました。それでも規格を作る価値は十分にあったと感じています。
── 御社が考えるJSA-S1003の特徴を教えていただけますか。
一つは、元金融庁の専門検査官など保険業界やリスクマネジメントに関する専門知識を有すメンバーで構築された委員会によって開発されたという点です。
それから、保険代理店がサービス品質を高めて、顧客により良いサービスを提供していくには、社会・業界などから求められる業務品質を持つことが前提となります。JSA-S1003は業界特有の保険代理店の各種管理態勢のみならず、保険募集業務及び保険契約管理業務における指針についても規定していますので、これも規格の特徴というか、セールスポイントだと言えると思います。
── JSA-S1003の発行から2年以上が経過しています。今後の一層の普及に向けた活動、展望を聞かせて下さい。
この規格に適合しているかを審査・認証する機関として、一般財団法人保険代理店サービス品質管理機構が設立されました。実際に審査・認証活動がスタートしていますので、これから全国の多くの保険代理店にご利用いただけるよう普及活動を行っているところです。
──最後に、現在JSA規格の開発を検討されている方々へアドバイスをいただけますか。
楽なことではないかもしれませんが、基準を設けることによる効果だったり、社会がより良くなることなどを想像しながら夢をもって取り組むことで、楽しみながら開発ができると思います。
──どうもありがとうございました。