サービスエクセレンスを導入するには? ISO,組織事例をまとめたテクニカルレポートを発行!
2024/03/19
昨今,サービスビジネスの競争は激しく,組織は,もはや顧客満足を満たすだけでは十分ではありません。顧客ロイヤルティを高めるためには,(顧客が)期待を超えたと感じるような「カスタマーデライト」を生み出すことが求められています。このカスタマーデライトを生み出すためには,エクセレントサービスと呼ばれる卓越した顧客体験を実現する高水準のサービス提供と,そのための組織能力が必要不可欠です。2021年には、サービスエクセレンスの実現に必要な要件を規定した国際標準,ISO 23592(サービスエクセレンス-原則及びモデル)が国際標準化機構(ISO)から発行されました。
ISO 23592の発行後,この国際標準は非常に有用な標準であるという評価があった一方で,他の企業・組織は実際にどのように取り組んでいるのかという声も多数,聞くようになりました。ISOの専門委員会であるISO/TC 312(サービスエクセレンス)では,ISO 23592とISO/TS 24082の適用を支援する目的で高い評価を受ける世界の組織事例を収集し,最終的にテクニカルレポート,ISO/TR 7179(サービスエクセレンス-サービスエクセレンスを達成するためのプラクティス)として発行しました。
このテクニカルレポートは、ISO/TC 312のワーキンググループであるWG 2(エクセレントサービスの設計)が中心となり編集し, ISO/TC 312の参加国のエキスパートとの議論を経て完成しました。レポートには、 ドイツや日本など様々な国の企業から集められた事例が掲載されており, Eコマースアプリ,ファシリティサービス,空港,金融サービス,医療サービス,ホテルなど, さまざまな業種の参考事例が提供されています。
このレポートによって,サービスエクセレンスに関連するポイント, ビジョン・ミッション・戦略の策定、文化の構築、顧客体験の設計や改善など, 組織のサービスエクセレンスに関連する取り組みを参考にすることができます。
水流聡子(ISO/TC 312/WG 2コンビーナ,ISO/TC 312国内委員会委員長/東京大学 特任教授)のコメント
社会変化に対応して自組織を変革したいと希望する企業様が我々の研究室に相談にこられることが増えてきました。皆様,そろって,サービスエクセレンスに関する企業事例の情報を知りたいとおっしゃいます。このISO/TR 7179は,そのニーズに応えてくれる国際的企業の事例レポートであり,皆様にとって大変有用なものになると思われます。日本からは3つの企業様が事例を紹介されていますが,今後,同様なTRを発行する際には,日本から更に多数の企業事例が紹介されることを期待しています。
[ジュネーブ事務所]