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第1回 事業継続計画(BCP)/事業継続マネジメント(BCM)の違いについて

事業継続計画(BCP)/事業継続マネジメント(BCM)

BCMSの規格開発メンバーによる解説書籍!
『ISO 22301:2019(JIS Q 22301:2020)事業継続マネジメントシステム 要求事項の解説』を3月15日に発行しました。

第1回
事業継続計画(BCP)/事業継続マネジメント(BCM)の違いについて

1.事業継続とは


●災害大国日本において、「事業継続」が注目された背景
 近年、「記録的」「○○史初」「想定を超える」といった大規模な災害が頻発し、想定していないインフラの破断や製造拠点や資材調達に支障が出ることで、商材の不足などで一部の地域や業種が麻痺する事態が起きています。
 このような事象を経験した教訓を生かし、"災害が起きた後に事業を継続するために何をすべきか”を考えるという意味で、中小企業強靭化法が2019年6月5日に公布され、事業継続力強化計画の中で企業の事業継続(BCP)対策支援が盛り込まれました。

●かつて何が起きたのか
 2011年には、東日本大震災によって通信網の遮断や大規模停電、原子力発電所事故などが発生し尊い命が失われるとともに、部品の製造が出来なくなる、自家発電装置が正常に動作せず病院の機器が使えない、道路が分断されて物流が止まるといったことが起きました。
 また、2018年の平成30年7月豪雨(西日本豪雨)でも人的・住居被害が広範囲に及び、機器の水没や従業員が働けない状況が発生しました。
 海外で起きた災害であっても、アイスランドでの火山噴火により航空便が運航停止し部品調達が滞ったり、東南アジアでの大洪水により日本企業の生産拠点が深刻なダメージを追ったりする事態が起きました。

●自社の状況を見てみよう
 近年、地震や洪水などが一部特定地域で起きるのではなく、大規模地域で起きる傾向が増えています。
 台風・暴風の巨大化や南海トラフ地震など、直接的な被害はもちろんのこと、間接的に調達や販路が分断される可能性も大いにありえます。また新型コロナウイルス感染症のような感染症が国内外で同時に発生して、大規模に経済活動が止まることもあります。
 今般のような新型コロナウイルス感染症による日本全国、かつ世界全体で経済活動が止まるということは誰も予測できませんでした。

 様々な災害が再び起きた時に、自社は存続する備えや計画はありますか?



2.事業継続計画(BCP)とは


  簡単に言えば、リスクが発生した場合に従業員の命を守り、その家族を守る収入の糧となる事業を存続させための計画のことです。この計画は、取引先のため、業界のため、地域のため、日本全国のためとも言えます。
 「リスクが発生した時に考える」と「リスクが発生した時に計画通りに実行する」では、分かり易く言うと、“地震や火災が発生した際に防災訓練を生かした行動”と“起きた時に考える”とでは大きく結果が異なるのです。
  自社におけるリスクを洗い出し回避するための手段を考え、どう行動するかをまとめて、いざという時のために社員に通達し実際に動けるように教育・訓練を行いましょう。
 下記にて、参考情報となるWebページをご紹介致します。下記Webページの他にも、自治体や業界団体などに様々な情報がありますので、ご確認ください。

<参考情報 ここに記載しているのは一例です>

・中小企業庁
【中小企業庁のページ】中小企業BCP策定運用指針
・内閣府
【内閣府防災情報のページ】 内閣府が発行しているガイドライン等を参照する
・愛知県(ネットあいち)
【ネットあいちのページ】 中小企業向け事業継続計画(BCP)策定マニュアル
・大阪府
【大阪府のページ】中小企業の事業継続計画(BCP)「大阪府 超簡易版BCP「『これだけは!』シート」」


3.事業継続マネジメント(BCM)とは


 事業継続計画(BCP)が出来たら終わりではありません。始まりです。
 手順を決定した後に納入先や下請け業者、材料の仕入れ先は変わっていませんか?周囲の環境に変化はありませんか?
 リスクが発生したときに手順で決めたことが有効に機能させるために、自社を取巻く環境に変化がないか再確認をしましょう。
 大火災、想定を超えた地震や津波、台風や水害などで大きな被害が出るたびに教訓を生かしてBCPを見直しましょう。もちろん、新型コロナウイルス感染症も例外ではありません。
 いまや、自然災害は巨大化しています。各ニュースでは今後の自然災害予想が報じられていますが、「自社のBCPは万全!!」と思っていると、想定外に耐えられないかもしれません。
 そのためには、社内で見直しのルール作りや、リスクの再確認が必要になります。
 この仕組みが構築できれば、事業継続を管理(マネジメント)=BCMを実施していると言えるようになります。
 自社の、従業員や事業の存続を守るだけではなく、取引先に安心を提示することが可能になります。
 リスクのとらえ方や対応については、国際規格とJISがあります。このページの最後で紹介するので、参考にしてください。


4.事業継続マネジメントシステム(BCMS)とは


 BCMが機能すればとりあえずは一安心です。取引先に安心を与え、信頼感で優位性をアピールしましょう!!
 企業存続だけでなく、災害に強い企業へと価値を高めることができます。
 しかし、そのBCMは正常に機能していますか?周辺の環境や状況の定期的な再確認や手順書の見直し、社内周知や教育は正しく実施され、経営者の最終確認と判断は記録に残していますか?
 取引先企業などから、「BCMが機能していることは証明できますか?」と聞かれた時に対応できますか?
 下請け業者が、「BCMを実施していますので、ご安心ください」と言われたときや、取引条件にBCMを指定された場合に対応するのは大変です。
 このような時は、第三者認証を検討してください。

●第三者認証とは●
第三者である認証機関が中立で公正な立場から審査し、登録・公表する仕組み。

●BCMのマネジメントシステム●
国際規格ISO 22301に基づくBCMS(事業継続マネジメントシステム)審査登録(認証)があります。
ISO 9001(QMS)やISO 14001(EMS)と同じような、統一基準による審査登録(認証)制度です。
定期的に認定審査員により審査を実施し、自社のBCMが機能しているかを証明してもらいます。
認定証が発行されますので、取引先からの証明要求があった場合でも、相手が納得するまで資料を説明することが簡略化できます。
ビジネス機会の喪失低減や、組織ブランド価値の向上のために、導入をご検討ください。


図1 BCMSのPDCAサイクル図

【日本規格協会の商品・サービス情報】

リスクマネジメント関連 日本規格協会の商品・サービス
ISO 31000:2018
リスクマネジメント―指針
JIS Q 31000:2019
リスクマネジメント―指針
ISO Guide 73:2009
リスクマネジメント-用語
JIS Q 0073:2010
リスクマネジメント―用語
ISO/TR 31004:2013
リスクマネジメント-ISO 31000実施の手引
IWA 31:2020
リスクマネジメント-管理システムでのISO 31000の使用に関するガイドライン
IEC 31010 Ed. 2.0:2019 (b)
リスクマネジメント-リスクアセスメント技法
JIS Q 31010:2012
リスクマネジメント―リスクアセスメント技法
対訳 ISO 31000:2018(JIS Q 31000:2019)リスクマネジメントの国際規格[ポケット版] ISO 31000:2018(JIS Q 31000:2019)リスクマネジメント 解説と適用ガイド
その他、リスクマネジメント関連書籍をご用意しています。
リスクマネジメント関連書籍一覧は、 こちらをご覧ください。
リスクマネジメントシステムセミナー ISO31000規格活用コース
▼本コースは、規格の理解を深めることで、組織におけるマネジメントを改善し、
マネジメントシステムの有益な運営につなげていただくことを目的としたコースです。


事業継続マネジメントシステム関連 日本規格協会の商品・サービス
ISO 22301:2019
セキュリティ及びレジリエンス-事業継続マネジメントシステム-要求事項
JIS Q 22301:2020
セキュリティ及びレジリエンス―事業継続マネジメントシステム―要求事項
ISO 22313:2020
セキュリティ及びレジリエンス-事業継続マネジメントシステムーISO 22301の使用に関する手引き
JIS Q 22313:2014
社会セキュリティ―事業継続マネジメントシステム―手引
ISO 22320:2018
セキュリティ及びレジリエンス-緊急事態管理-インシデントマネジメントの指針
JIS Q 22320:2013
社会セキュリティ―緊急事態管理―危機対応に関する要求事項
その他、事業継続マネジメントシステム関連書籍をご用意しています。
事業継続マネジメントシステム関連書籍一覧は、 こちらをご覧ください。
ISO 22301に基づく事業継続マネジメントシステム認証を受け付けております。
ISO22301は、組織の事業継続を脅かす潜在的な脅威や、それらの脅威が現実となった場合に引き起こされる事態への対応を
効率的に行うための包括的なマネジメントプロセスであり、組織の対応力及び復旧力を高めるための仕組みです。
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